福岡県は「とんこつラーメン」発祥の地
福岡県は海と山の幸に恵まれ、名物料理がたくさんあることで知られています。その代表格とんこつラーメンは、普段から気軽に食べられる麺料理として、子どもからお年寄りまで幅広い層に親しまれています。細い麺ととろりとしたスープの相性は抜群で、麺をすすると濃厚なうま味が口いっぱいに広がります。今では海外にも多くの専門店ができるほどの人気料理となっています。
福岡県内には2つの空港と貿易港があり、「アジアの玄関口」とも呼ばれています。
濃厚スープと細い麺が「とんこつラーメン」の命
とんこつラーメンは今から70年以上前に、福岡県久留米市で誕生しました。最大の特徴でもある乳白色のスープが生まれたきっかけは、「うっかり」だったといわれています。
ある日、屋台を営む店主がスープを煮つめすぎてしまったことがありました。いつもより白く濃厚なスープができたのですが、一口飲んでみるとこれが驚くほどおいしかったのです。店で出したところ、そのまろやかなうま味は評判を呼び、やがてほかの店にも広がっていきました。
とんこつスープは、材料や煮込み方によって大きく風味が変わります。野菜と一緒に炊き上げたり、何十時間もかけて煮込んだりと、それぞれの店がこだわりを持って、独自の味わいを追究しています。
とんこつは長時間じっくり煮込まれることで、スープにゼラチン質やうま味が溶け出し、とろりとした食感が生まれます。
また、スープと並んで特徴的なのは麺の細さです。この細い麺は、福岡市の長浜の屋台が発祥です。魚市場に近い長浜では、市場で働く忙しい人たちにすばやくラーメンを出すために、ゆで時間の短い細い麺を使うようになりました。また、細い麺は伸びやすいので、大盛りではなく、食べながら麺だけを追加で注文できる「替え玉」という仕組みが生まれました。
麺の固さは「やわ」「普通」「かた」「ばりかた」「針金」など、ゆで時間によって名前があり、注文時に希望を伝えれば、好みの固さでゆでてもらえます。
地元の人たちには、「ばりかた」や「針金」などの固ゆで麺が人気で、「粉落とし」と呼ばれる、極端に短いゆで時間も存在します。
観光客と地元の人でにぎわう屋台ラーメン
博多などの市街地では、夕方になると、屋台が通り沿いに並びはじめます。屋台のメニューは、焼き鳥やおでん、一品料理などさまざまですが、多くの屋台でとんこつラーメンが出されています。
店や屋台のテーブルには、無料のトッピングとして、紅しょうが、ごま、辛子高菜などが置いてあります。使い過ぎは禁物ですが、好みに合わせて味の変化を楽しむことができます。
福岡県のとんこつラーメンは、スープと麺を味わうシンプルなものが多く、トッピングはネギだけという店もあるほどです。
屋台では、偶然隣に座ったお客さんと仲良くなれることもあります。和気あいあいとした屋台の雰囲気を楽しみながら、とんこつラーメンを食べてみてはいかがでしょうか。
福岡県の市街地では、夕方になると赤ちょうちんや色鮮やかなのれんをさげた屋台が道の脇に次々に並びます。ラーメンを出す店も多く見られます。中には、メニューはとんこつラーメンのみというこだわりの屋台もあります。