「うどん県」を名乗るうどん王国、香川県
「うどん」は日本の代表的な麺料理で、小麦粉と水と塩からできています。全国に数多くあるうどんの産地の中でも、香川県は自ら「うどん県」と名乗るほど、うどん文化が定着している地域です。香川県は、昔は讃岐と呼ばれていたため、この地のうどんは今でも「讃岐うどん」として親しまれています。
讃岐うどんの特徴は、噛んだときに弾力を感じる「コシ」にあります。このモチモチした食感は、うどんの生地をよく練ることで生まれます。讃岐うどんは、生地を何度もこねて延ばすことで、コシを強くします。機械を使わない昔ながらの製法は「手打ち」と呼ばれ、香川県ではたくさんのうどん店で行われています。
しっかりこねた生地を麺棒で延ばします。延ばした生地は、大きな包丁で3㎜くらいの幅に切って麺にします。
暮らしの中に生きるうどん愛
香川県は日本で一番面積が小さい県ですが、その中には500軒以上ものうどん店が集まっています。多くの人は子どもの頃から行きつけの店を持っていて、毎日のように食べる人もいるほど、うどんが生活の一部になっています。
香川県では、水田の裏作として小麦が栽培されてきました。田植えを終える目安となる、7月2日頃の「半夏生」という日には、労をねぎらってみんなでうどんを食べる慣習があります。これにちなんで、香川県では7月2日を「うどんの日」として定め、うどんを振る舞うイベントなどを開催しています。
太くて長いうどんは長寿の縁起物。日本でお祝いの色を表す紅白にちなみ、多くの店では赤い具を乗せた「年明けうどん」が提供されます。赤い具は、餅、かまぼこ、にんじんなどさまざまです。
また、日本では年末に「年越しそば」を食べる慣習がありますが、香川県には「年明けうどん」があり、お正月にうどんが食べられています。他にも、引っ越したときに食べたり、結婚式に参加した人にうどんを贈ったり、特別な日にも欠かせない食べ物です。
いろいろな食べ方で楽しむ「讃岐うどん」
讃岐うどんには、さまざまな種類のメニューがあります。麺にだしを注ぐ「かけうどん」、濃い味つけのだしをかける「ぶっかけうどん」、冷たい麺をつゆにつけて食べる「ざるうどん」など、それぞれに違ったおいしさです。
「かけうどん」に大きなえび天をのせたうどん。だしのうま味と、サクサクの天ぷらがたまりません!
「釜あげうどん」は、麺とゆで汁が一緒に器に入っていて、つけだしに少しずつつけて食べます。麺の風味を楽しめる食べ方です。
うどんのメニューだけでなく、お店の種類もさまざまです。普通の飲食店のように座席で注文するお店、「セルフ」のお店、製麺所という3つのタイプがあります。「セルフ」のお店では、カウンターで注文した後、自分でうどんを温めてだしを注ぎ、天ぷらなどの具を選んで入れます。自分でうどんを仕上げる楽しさが、セルフ店の魅力です。また、麺をつくる「製麺所」では、打ち立てのうどんを食べることもできます。コシのあるモチモチの讃岐うどんを、本場で味わってみませんか?