甘くてジューシーな和歌山県の「有田みかん」
和歌山県は日本で一番大きな半島の南西部にあります。海、山、川の豊かな自然に恵まれ、年間を通してあたたかい地域です。和歌山県ではこの立地と気候を生かして、みかん栽培が盛んに行われています。
和歌山県の海岸線は約650キロメートルにおよびます。「白良浜」など、さまざまな地形の海岸を見ることができます。
日本では冬になると、スーパーマーケットのフルーツ売り場にみかんが並びます。日本のみかんは種が少なく、小ぶりで皮が柔らかいため簡単に手でむけます。ビタミンがたっぷりで、気軽に食べることができるので、多くの家庭で冬のおやつとして親しまれています。
和歌山県でつくられている「有田みかん」は、みかんの中でも特に甘く、全国的に人気があります。
恵まれた自然を生かしてつくる「有田みかん」
和歌山県のみかん畑は、山肌につくられた階段のようです。これは段々畑と呼ばれ、農家の人たちが石を積み上げてつくったものです。石垣は土砂崩れを防ぐとともに、太陽の温もりを保ってくれます。斜面で育つみかんは太陽の光をたっぷりと浴びて、さらに石垣からの光の反射も受けて、とても甘い果実になるのです。
みかんづくりには、農家の人たちの日々の努力も欠かせません。毎年たくさん収穫するために枝葉を切って手入れをしたり、糖度を高くするために夏の暑い時期には水やりを控えたり、さまざまな工夫を重ねています。
「有田みかん」の人気は、今から300年以上前の江戸時代(1603〜1868)初期に、冒険好きな若者のおかげで広がったという話もあります。地元のおいしいみかんを、江戸(現在の東京)で売りたいと考えた若者は、激しい嵐の中、命がけで船を出しました。届けられた「有田みかん」は、江戸の人たちにとても喜ばれ、商売は大成功したといわれています。
「 有田みかん」の多彩なおいしさ
「有田みかん」は、9月から1月にかけて収穫され、時期によって呼び方が変わります。一番人気は、10月から12月のはじめに収穫する「早生みかん」です。皮はだいだい色で柔らかく、果汁たっぷりで、甘さと酸味のバランスが絶妙です。9月に収穫する「極早生みかん」は皮が黄緑色で、さわやかな酸味があります。時期によって変化するおいしさも、「有田みかん」の魅力です。
多くの農園はみかんジュースもつくっており、日本だけでなく海外でも販売しています。みかんの風味を生かすために、一つひとつ丁寧に手作業で皮をむき、果汁をしぼります。農園によっては、みかんの糖度を光センサーで測り、とても甘いものから、すっきりした酸味のあるものまで、タイプの違うジュースをつくっています。「有田みかん」は、冬はフルーツとして、夏にはジュースとして一年中楽しむことができます。