広島県の焼きそば入り「お好み焼き」
広島県には、広島平和記念碑と厳島神社という二つの世界遺産があり、国内外から多くの観光客が訪れます。広島県の名物といえば、市街を走る路面電車や、新鮮な牡蠣、そしてなんといっても「お好み焼き」です。
お好み焼きは鉄板料理の一つで、小麦粉の生地と、野菜や魚介・肉などの具材でつくります。お好み焼きは、大きく分けると「大阪」と「広島」の二つのタイプがあります。「大阪」のお好み焼きは、生地と具をかき混ぜて一緒に焼きますが、「広島」のお好み焼きは、生地と具を別々に何層も重ねて焼きます。焼きそばが入っていることも最大の特徴です。
厳島神社は、広島湾に浮かぶ厳島(通称・宮島)にあり、海の中の美しい大鳥居が有名です。
おやつからソウルフードに進展
お好み焼きの前身は当時の子どもたちのおやつとして人気でした。
お好み焼きは、1920年代〜30年代、子どもたちのおやつとして始まったといわれています。これは、小麦粉を水で溶いて薄く焼き、野菜をはさんだもので、主に屋台で売られていました。当初は、ネギやキャベツなどのありあわせの野菜でつくられていましたが、やがて肉や卵なども入れるようになり、ボリュームはどんどん増えていきます。1950年代には現在に近い形のお好み焼きができあがり、広島県民のソウルフードとまで呼ばれるようになったのです。
広島県のお好み焼きは、まず鉄板に生地を薄く広げて焼き、野菜や豚肉などの具材をのせてつくります。その横では焼きそばの麺を炒めておき、生地と具に火が通ったら麺の上に移します。次に鉄板で卵をほぐし、お好み焼き全体をその上にのせます。最後に卵が上になるようにひっくり返してソースをかけ、ネギ、かつお節、青のりなどをのせれば完成です。食材を重ねながら焼くので、キャベツの甘み、豚肉の香ばしさ、モチっとした麺の食感など、一枚でいろいろな風味が楽しめます。
キャベツやもやしなど、びっくりするほどたくさんの野菜を使います。
大きな鉄板の上で次々と生地や具を焼き、ヘラを使って手際よく仕上げていきます。
本場で味わうさまざまな「お好み焼き」
広島市中区の新天地には、かつてお好み焼きの屋台がたくさん並んでいました。今は屋台はありませんが、当時の活気を受け継ぐ「お好み村」を訪ねることができます。4階建てのビルに20軒以上の専門店が集まり、定番のお好み焼きはもちろん、チーズや地元産の牡蠣をのせたもの、ベジタリアン向けのものなど、さまざまなメニューが提供されています。
広島県の市街地では、通りにまでソースの香ばしい匂いが広がっています。つられてお店に入り、手際よくお好み焼きがつくられていく様子を見ていると、もう待ちきれない気分になるでしょう。このワクワクするような雰囲気も、本場で味わうお好み焼きの醍醐味です。