パリッとした食感がたまらない「草加せんべい」
日本で昔から親しまれている「せんべい」は、お米から作るおやつです。その種類は豊富で、甘いものや塩味がきいたもの、堅いもの、柔らかくしっとりしたものなど、味も食感もさまざまです。日本の家庭では、くつろぎたい時にテレビを見ながらつまんだり、お客さんがきた時のお茶うけに出したりと、日常的に食べられています。
「草加せんべい」は、その名のとおり埼玉県草加市で誕生した「せんべい」で、硬めでパリッとした食感が特徴です。
伝統的な製法を守り、選び抜かれた材料だけで作られているせんべいだけが「草加せんべい」と呼ばれ、埼玉県の名産品となっています。
埼玉県は東京都の北西に位置し、都内からも気軽にアクセスできる場所にあります。長瀞などの自然豊かな観光スポットもあり、ハイキングや川下りが楽しめます。
団子をアレンジ!?草加せんべいの起源
草加せんべいの誕生は、江戸時代(1603年~1868年)までさかのぼります。当時の草加市は、江戸(現代の東京)と日光を結ぶ日光街道の宿場町としてにぎわっていました。草加市は米づくりが盛んで、お米で作った「団子」を売る店がたくさんあり、旅人も好んで食べていました。
草加せんべいの起源は諸説ありますが、団子屋の「おせん」という女性が作りはじめたという説が親しまれています。売れ残った団子をどうにかできないかと悩んでいた「おせん」は、店の前で出会った侍からあるアイデアを教えてもらいました。早速、その通りに団子を平らにして天日で乾かし、しょうゆをぬって売ったところ、たちまち人気が出て名物になったといわれています。
草加せんべいは、ゴマ、のり、ざらめ(砂糖)、唐辛子など、種類が豊富で100種類を超えています。
草加市には50軒以上の草加せんべいの店があり、店頭にはこうばしい香りがただよっています。
パリッとした食感を生む伝統的な製法
草加せんべいは、昔ながらの製法を大切に作られており、一人前の職人になるまでには10年かかるといわれています。職人の域に達するには修行が必要ですが、初心者でも気軽に草加せんべいを焼く体験ができる店もあります。
草加せんべいは、形を平たく保つために「押瓦」という専用器具で押しながら焼きます。こうすることで、焼き始めに出てくる気泡を押しつぶすことができ、草加せんべいの最大の特徴でもある、あのパリッとした食感が生まれるのです。
自分で焼いた草加せんべいの味と香りは格別で、海外からの観光客にもとても人気があります。江戸時代に旅人を魅了した焼きたてのこうばしい香りが、今では世界中から訪れる旅人たちを魅了しているのです。