「イチゴ王国」と呼ばれる栃木県
栃木県はたてに長い日本列島のちょうど真ん中あたりに位置します。三方向を高い山々に囲まれ、中央から南側にかけては豊かな平野が広がっています。山からは澄んだ川の水が流れ、地下水も豊富です。
このような自然環境を活かして、栃木県では農業が盛んに行われています。中でも、もっとも有名なのはイチゴ栽培です。栃木県のイチゴの生産量は日本一を誇り、別名「イチゴ王国」とも言われています。
イチゴの生産地で、収穫体験も楽しめる
栃木県では1950年代からイチゴの栽培が始まり、さまざまな研究が行われてきました。屋外の畑で栽培されていた当時は5月に実をつけていましたが、ビニールハウスの導入や新しい品種の開発により、11月から6月までの長い期間にわたって、たくさんの種類のイチゴを収穫できるようになりました。
イチゴの栽培には、コツコツとした作業が必要です。農家の人たちは、苗の株を一つ一つ手で分けて植え、冬には根元に藁やビニールを敷いて寒さから守ります。夏には、苗を冷蔵庫に入れることもあります。これは、イチゴに季節の変化を感じさせ、収穫時期を早めるための工夫です。
栃木県には、イチゴの収穫が体験できる、観光のためのイチゴ農園もたくさんあります。ビニールハウスの中に入って、生産地でしか味わうことのできない特別なイチゴや、新しく開発された色んな種類のイチゴを食べ比べながら、摘みたての味と香りを楽しむことができます。
栃木で生まれたイチゴの品種「とちおとめ」
栃木県で栽培されているイチゴの中で、もっとも生産量が多いのが「とちおとめ」という品種です。栃木の「とち」に、若く愛らしい女性を表す「おとめ」という言葉を合わせた名前で、研究により、1996年に誕生しました。つややかで鮮やかな赤色、きれいに尖った形、そして、甘みと酸味のバランスが取れた味が特徴です。
「とちおとめ」は、その見た目の美しさから、スイーツにも多く使われています。日本では毎年冬になると、あちこちのレストランやカフェで、「とちおとめ」を使ったケーキやパフェが登場します。真っ白な生クリームの上に真っ赤なイチゴが乗ったケーキは、日本でクリスマスを祝う定番となっています。
「赤い宝石」とも呼ばれる「とちおとめ」。みなさんも味わってみませんか?