日本の夏に欠かせない「そうめん」
暑い夏は、さっぱりとした冷たいものが恋しくなります。そんなときに日本人がよく食べる家庭料理が「そうめん」です。ツルッとした食感で、暑くて食欲がない日でもお腹に優しい食べ物です。そうめんは麺料理の中でも特に細く、ゆでる前の太さは1ミリほどしかありません。2分くらい麺をゆでた後に、水や氷で冷やしていただきます。そうめんはスパゲティとは種類の違う小麦粉を使っているため、色は真っ白です。
そうめんを食べるときは、濃い味つけの「つゆ」につけて一気にすすります。「つゆ」にはネギや海苔、ショウガ、ワサビなどの薬味を入れて、彩りと風味を加えます。
「手延べそうめん」づくりが盛んな兵庫県
兵庫県の南西部にある播磨地方は、そうめんの原料となる良質な塩や水、小麦に恵まれた土地です。これらを生かし、この地方ではおよそ600年前から「手延べそうめん」がつくられてきました。「手延べ」というのは、長いひも状にした生地を、手作業で2メートルになるまで何度も引きのばしながら、細い麺にするつくり方です。太かった麺が、引き延ばすたびにどんどん細くなっていく様子は、まるで魔法のようです。この作業を繰り返すことで、ゆでても麺がのびにくく、なめらかでコシのある食感となり、おいしいそうめんができるのです。最高級のそうめんは0.6ミリと細く、熟練の職人にしかつくれないため生産量もわずかです。
そうめんは、ゆっくりと乾燥させることで、表面のざらつきが少なくツルッとした食感になります。
手延べそうめんは、一束ずつ丁寧に帯でまとめられています。
播磨地方にはそうめんの資料館があり、歴史や製造工程を知ることができます。そうめんを延ばす体験コーナーや、本場の味が楽しめるレストランもあります。レストランでは、そうめんの巻き寿司などの珍しい料理も提供されています。
「そうめん」の楽しみ方
そうめんは、ゆでるだけですぐに食べられる料理です。麺をつゆにつけて食べるだけではなく、好みのトッピングをのせると、また違った味わいが楽しめます。ひと手間加えてトマトとあえれば、パスタのような料理に変身します。温かいつゆで食べれば、「にゅうめん」という料理にもなります。
外で楽しむ「流しそうめん」は、日本の夏の風物詩です。「流しそうめん」は、竹などで水路を作り、そこに水と一緒にそうめんを少しずつ流し、流れてきたそうめんを箸ですくいとって食べます。ほかにも、テーブルの上に水路で輪をつくる「そうめん流し」という食べ方もあります。兵庫県には、どちらも楽しめるお店があります。流れてくるそうめんを箸ですくって食べるのは、ゲームのようでわくわくします。夢中になってついつい食べすぎないようご注意ください