2023 NO.34
Menu街歩きにっぽん
琵琶湖の多様な生物相は、水辺の町である長浜に豊かな恵みをもたらしてきた。中でも豊富な魚介類を保存するための発酵食のレシピは、古代から今へと受け継がれている。その代表が、琵琶湖の固有種であるニゴロブナの「鮒ずし」である。春に獲ったフナを塩漬けにし、その後炊いた米を漬け込み乳酸発酵するもので、鮨の原型になったともいわれる。市内各所に鮒ずしの名店があるが、独特の味を賞味するなら、中心街から北へ車で30分ほど行ったところにあるオーベルジュ「徳山鮓」に足を運んでほしい。ほかにも土地の食材を使っためずらしい発酵食のメニューが用意されており、湖北の大自然を満喫しながらいただく味は格別だ。また長浜には、米と麴(米などに麴菌をつけ繁殖させたもの)で醸造する日本酒の蔵も多い。名産の米と奥伊吹山系の伏流水を用いる「冨田酒造」では日本酒のほか、製造過程の副産物である酒粕を使ったスイーツなどの商品も用意されている。
2021年には、発酵をテーマにした商業文化施設「湖のスコーレ」がオープン。醸造室やショップをめぐって、味噌やチーズの製造体験に参加したり、施設内でつくられる麴を使った甘酒(米麴からつくる甘味飲料)をお土産に買ったり。長浜で育まれてきた発酵文化をたっぷりと学び、遊べる施設になっている。
町のあちこちに発酵食を味わえるスポットが点在する長浜を歩けば、自然や歴史もおのずと味わえてしまう。一味違う和食の旅をしたい人にはぜひおすすめしたい。
長浜エリア地図
①竹生島②長浜城③黒壁スクエア④長浜八幡宮⑤徳山鮓⑥冨田酒造⑦湖のスコーレ
●交通案内
東京駅から長浜駅まで東海道新幹線とJR北陸本線を利用して約2時間30分。
大阪駅から長浜駅までJR東海道本線を利用して約1時間30分。
●問い合わせ
長浜・米原を楽しむ観光情報サイト
https://kitabiwako.jp/