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2023 NO.34

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日本の食で健康になる!

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日本から生まれた食のイノベーション

持続可能な社会や健康な生活に貢献する可能性を秘めた新しい食の提案を、日本から。

おいしくフードロス問題を解決
♣ベジート

形がいびつだったり、傷が入っていたり、市場に出回らずに廃棄されてしまう規格外野菜が紙のように薄いシートに生まれ変わった。その名も「ベジート」は、ペースト状にした野菜に寒天を混ぜ、薄く伸ばして乾燥させるとできる。食品添加物や化学調味料は使っておらず、加工によって野菜本来の味や栄養も損なわれることもなく、長期保存も可能。具材を巻いたり、溶かしてスープにしたりと、幅広い料理に使えるのも魅力だ。

野菜の味や色をそのままシートにしたベジート

シートで野菜や肉などの具材を巻いておもてなしにも

シート状に成型し、乾燥させる製造工程
(3点とも写真提供=株式会社アイル)

世界を救う微生物
♣ユーグレナ

葉緑体を持ちながら、べん毛を使って運動するという、植物と動物の双方の性質を兼ね備えた不思議な微生物・ユーグレナは、59種類もの栄養素を持つスーパーフードとして注目を集める。水と光があれば光合成で育ち、その過程で二酸化炭素を吸収するため環境問題の解決にも役立つとされる。サプリメントや飲料などの食品や化粧品、バイオ燃料や飼料、肥料にも活用されるなど、その潜在能力ははかりしれない。

フルーツ味の飲料

ユーグレナは乾燥してから加工される

体長0.05〜0.1㎜ほどしかないユーグレナ
(3点とも写真提供=株式会社ユーグレナ)

昆虫食の新境地
♣コオロギラーメン

牛や豚の肉に劣らずたんぱく質が豊富で、飼育しやすいコオロギは、食糧危機を救う食材として期待される。コオロギ粉末入りのスナック菓子などが発売されて話題を集めるなか、ついに国民食のラーメンにコオロギを使ったものが登場した。コオロギの粉末を練り込んだ麵に、コオロギだしのスープ、コオロギの香味油、コオロギと米麴を合わせて発酵させた醬油を使ったラーメンは、エビにも似た香ばしさやうま味があり、とてもおいしい。味わってみれば、昆虫食のハードルが下がり、食材としてのコオロギの力を認識することだろう。

左/一杯に約160匹のコオロギが使われる昆虫食レストラン「ANTCICADA」のラーメン(写真=栗原 論)
右上/コオロギと米麴を発酵させてつくった醬油
右下/フタホシコオロギとヨーロッパイエコオロギの2種でだしをとる(2点とも写真提供=ANTCICADA)

栄養十分でおいしい
♣完全食

「完全食」とは、1食のうちに必要とされる栄養素*がバランスよく含まれる食品のことで、ダイエットをしたい人や、効率よく食事を済ませたい忙しい現代人に重宝されている。かつては液体に溶かして飲む粉末ぐらいしかなかったが、もっと料理らしいものが食べたいというニーズに応えて、近年はさまざまなタイプの商品が登場。パンやカレー、パスタなど、その日の気分に合った食事を選べるようになった。
*厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」に基づく推定値

全粒粉等を用い、糖質も低減した完全食のパン
(写真提供=ベースフード株式会社)

お湯をかけるだけでできる即席のカレー(左)と、レンジ調理の冷凍のパスタ(右)
(写真提供=日清食品株式会社)