2026 NO.39
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街歩きにっぽん
海の恵みと交流の歴史に育まれた街は、
祭りの熱気を脈々と受け継いできた。
道を歩けば、その高揚の余韻が伝わってくる。
写真●PIXTA、Aflo

「唐津くんち」は11月2日から4日まで行われる唐津神社の秋季例大祭で、曳山行事がユネスコ無形文化遺産に登録されている(写真=唐津観光協会)
九州の北西部に位置する佐賀県の北端、玄界灘に臨む唐津へは、JR博多駅から電車を使っても、福岡空港から直行バスに乗っても、約1時間30分ほどでたどり着く。古くから大陸への玄関口として栄え、唐津城が築かれた17世紀頃からは、多くの商人が行き交う城下町として発展してきた。「虹の松原」として知られる景勝地が生まれたのも、唐津城の築城と同時期。防潮のために植えられた松林が美しく育てられ、現在では100万本の松が植林ざれているという。
唐津の街がもっとも活気づくのが、秋の深まった11月に行われる「唐津くんち」の期間。五穀豊穣を祝い催される唐津最大の祭りで、獅子や鯛、船などの形をした「曳山」と呼ばれる山車が街へと繰り出す。金や漆で彩られた豪奢で巨大な工芸品が、大勢の人に曳かれて進む光景は、圧巻の一言だ。
そしてこの祭りの時に各家庭でふるまわれるのが「くんち料理」だ。親戚や知人、曳山を曳き終えた仲間を家に迎え入れ、卓を囲むための料理で、魚貝や野菜など、色とりどりに盛られた大皿が並ぶ。なかでも、ひときわ目を引くのが「クエの姿煮」。この地を代表する高級魚で、巨大なものでは1mにも及ぶ、唐津の祝膳を象徴する一品だ。見て、分かち合い、語らいながら味わう──くんち料理は、祭りの熱気を家の内へと引き継ぐ、もうひとつの祝いのかたちなのである。