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2023 NO.35

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街歩きにっぽん街歩きにっぽん

8

清流と踊りの街
郡上八幡

流れるせせらぎが耳に心地よい静かな街が、
夏には夜毎に続く「郡上おどり」の熱狂に包まれる。
日本を代表する踊りの聖地を堪能したい。

写真●栗原 論、PIXTA、photolibrary

街の中心部を流れる吉田川

郡上八幡へ向け走る長良川鉄道

木造再建城としては日本最古の郡上八幡城

中部地方最大の都市、愛知県名古屋市から電車を乗り継いで2時間程度北上すると、岐阜県の郡上八幡に辿り着く。郡上八幡は、かつては霊峰白山への参詣者が足を休める逗留地として、「郡上八幡城」が築かれた16世紀後半以降は、多くの商人が行き交う城下町として発展してきた。周囲を山に囲まれ、市中を流れる吉田川と小駄良川の水音が心地よく響き渡り、今も昔も訪れる人の心を癒してくれる。

夏、この静かな街は「郡上おどり」で一変する。400年前から続く郡上おどりは、7月〜9月にかけての31日間に市内各所を巡回して開催される盆踊り行事で、市民から観光客まで、街中が一体になって踊り続ける。圧巻は8月13日〜16日にかけて開かれる徹夜おどり。夜8時から早朝5時まで踊り明かすこの時期は、市外からも数万に及ぶ人が訪れて、街は熱気に包まれる。

「郡上八幡博覧館」では、1年を通してインストラクターによる実演があり、開催期でなくても踊りの体験が可能だ。手を叩き、時に下駄で地面を打ち鳴らしながら、囃子にあわせて歌い踊るようすを見れば、つられて体が動いてしまうことだろう。

郡上おどり(郡上踊)は「風流踊」としてユネスコの無形文化遺産に登録されている(©福田弘二)

郡上おどりに欠かせない下駄(上・写真提供=郡上木履)と、手ぬぐい(写真提供=郡上市商工観光部観光課)

10種類ある郡上おどりの演目から「かわさき」を実演する郡上八幡館の踊り子スタッフ