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2023 NO.35

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踊れ、ニッポン!

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日本の無形文化遺産
風流踊

2022年にユネスコの無形文化遺産に登録された「風流踊」。
「風流」とは、もともと上品で優雅なものを意味する言葉だったが、やがて華やかに装って大勢で踊る群舞を指すようになった。日本各地に今も脈々と伝わる、味わい深い踊りの数々を紹介しよう。

西馬音内の盆踊

秋田県羽後町

8月、先祖の霊が帰ってくるお盆の時期に踊る「盆踊り」のなかでも、ひときわ優雅とされる。編み笠や頭巾で顔を隠して死者に扮した踊り手たちの手振りと足運びは、しなやかで美しい。絹布を縫いあわせた「端縫い(はぬい)」の着物が踊りに花を添える(写真=PIXTA)

毛馬内の盆踊

秋田県鹿角市

篝火を囲みながら、ゆったりとした所作で指先までまっすぐ腕を伸ばしながら舞う情緒豊かな盆踊り。男女とも黒を基調とした正装の着物を身にまとい、水玉もよう柄の手ぬぐいで頰被りをする(写真=アフロ)

白石踊

岡山県笠岡市

12世紀に起きた合戦の戦死者を弔うために始まったとされる、白石島に伝わる盆踊り。「口説き」と呼ばれるひとつの音頭にあわせて何種類もの踊りが同時に舞われる。現在、伝わるのは13種類。衣装や所作の異なる踊りが生み出す調和に、思わず息をのむ(写真=笠岡市役所)

滝宮の念仏踊

香川県綾川町

平安時代に大干ばつから人びとを救った菅原道真公への感謝と五穀豊穣を祈って、毎年8月下旬、滝宮神社と滝宮天満宮へ奉納される。団扇を持った「下知(げんじ)」が「ナムアミドーヤ」の音頭と太鼓・笛・鉦・ほら貝の囃子にあわせて踊る(写真=綾川町)

やすらい花

京都府京都市

桜が咲く春に、今宮、川上、玄武、上賀茂の4地区で行われる、災いをもたらす悪霊や疫病を鎮めることを願う行事。「赤熊(しゃぐま)」という赤や黒の髪をつけた鬼と呼ばれる役が鉦や太鼓を打ち鳴らし、「やすらい花や」の歌や笛の音とともに練り歩く。写真は今宮地区でのようす(写真=アフロ)

吉弘楽

大分県国東市

毎年7月に虫送り(農作物の虫除け)などを祈願し、楽庭(がくにわ)八幡社で行われる踊り。腰蓑をつけ、兜などをかぶった楽人たちが勇壮に舞う(写真=国東市)

綾子舞

新潟県柏崎市

約500年前から伝わる芸能で、高原田(たかんだ)と下野(しもの)のふたつの座元が伝承している。女性が踊る小歌踊、男性による囃子舞と狂言の三つで構成される。小歌踊はユライと呼ばれる赤い布を頭にかぶり、しなやかな扇の手振りや優雅な足さばきが魅力の踊りである(写真=高橋正仁/芳賀ライブラリー)

チャッキラコ

神奈川県三浦市

豊漁や商売繁盛を祈願し、正月15日に海南神社で行われる舞。大人の女性の歌にあわせ、赤い着物をまとった少女たちが「チャッキラコ」という2本の綾竹(鈴と飾りをつけた竹の棒)や扇を持って舞う(写真=アフロ)

寒水の掛踊

岐阜県郡上市

寒水地区にある白山神社で300年以上続く例祭に奉納される。シナイと呼ばれる竹製の花飾りを背負い、太鼓や鉦を打ちながら踊りまわる。面をつけたり、花笠をかぶったりと、踊り手のいでたちもさまざま(写真=郡上市観光連盟)