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2021 NO.31
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日本で「ひとやすみ」のススメ
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間口が広く風通しの良い日本家屋は、夏も涼しく快適な空間(写真=アフロ)
疲れた体を労わるため、気分転換をするため、創造力を働かせるため……充実した生活をおくるには、休みは不可欠な時間だ。文化によって休み方はさまざまで、一年間に休む時間の総量にも違いはあるだろう。労働時間が比較的長いといわれる日本は、休み下手と思われるかもしれない。しかしながら、意外に実情はそうでもない。むしろ、限られた時間の中でも質の高い、充実した休み方を工夫してきた。
そもそも、休むとは単に体を動かさないことではない。いつもと異なる活動をしたり、普段とは違う思考をしたりすることで、心と体は休らぐ。坐禅による瞑想、野外での運動も、立派な休み方のひとつである。また、豊かな自然環境に身を置いて目を労わったり、湯につかって筋肉の疲労を和らげたり、消化に良い食事で胃腸を整えたり。日本には疲れた体を休ませ、明日への英気を養うためのさまざまな方法が用意されている。
また、日本人は生活の中にちょっとした休みを楽しむことにも長けている。街のあちこちにある、ひとりでもゆったりできるくつろぎの場を訪れたり、一日の疲れを取り癒しをもたらしてくれるアイテムをうまく使ったりして、気分転換をはかっている。実は日本人は、上手に休みをつくりだしているのだ。
豊かな生活を求めるためには、これまでの自らの働き方や休み方を問い直す必要もあるだろう。そのヒントは、日本のいろいろな「ひとやすみ」に隠されているかもしれない。