niponica

2020 NO.29

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日本の心を結ぶ

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技に磨かれた「結び」の美

竹垣結び

建仁寺垣。京都にある美しい庭と竹垣で有名な寺の名前が由来。
周囲の喧騒を隔て、ひっそりとした空間をつくり出している

秦造園の秦民樹氏。今では数少ない竹垣づくりの技を継承する作庭家として、歴史的な価値を持つ日本庭園の復元整備などにも従事している。
竹垣づくりでは、縦に並べた竹の節が左右と重ならないようにリズミカルに配置。また黒いしゅろ縄は、結ぶ間隔や強度などを計算しながら結び方を選び、機能性と美しさの両立をめざしているという

竹で編んだ垣根を竹垣という。竹垣は、敷地を仕切るという垣根本来の役割を越え、庭の風情ある背景として無数の日本庭園を彩ってきた。江戸時代中期には、竹垣が浮世絵の粋なモチーフとして数多く描写され、一般庶民の暮らしに広がってきた。
竹垣には庭の中が外から透けて見えるものと、中が見えないつくりのものがある。また、しゅろ縄と呼ばれる黒い縄で、すっきりと結んだもの、立体的な結びで飾ったもの、結んだ縄の先を長く垂らしたものなど、結び方も多様だ。どれも竹と縄目の色のコントラストが美しく、四季折々の豊かな色彩と響きあいながら、日本の街の景観に独特の味わいを加えている。

日本庭園の名所、光悦寺(京都府)にある竹垣。割り竹を粗い菱形に組み、向こうが透けて見えるのが特徴

多様な結びを使い分けるのも、職人技の腕の見せどころ