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2021 NO.30
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召し上がれ、日本
彩り鮮やかな食卓の定番
漬物
撮影●瀧島洋司 写真●ピクスタ
美しい彩りの漬物
漬物とは、野菜や果実、山菜やきのこをはじめ、魚介類や海藻、肉類といったさまざまな食材を、塩、しょうゆ、酢、ぬか、みそ、こうじなどに漬けたものをいう。素材本来の味覚を残しながら、ほどよく塩分が効いた漬物は、淡白な味わいのご飯との相性は抜群。長くご飯を主食としてきた日本の食卓に欠かせない食べ物として愛され続けてきた。
漬物の種類には、発酵するタイプの漬物と調味料で味をつけたものなどがある。また素材の新鮮な歯ごたえを楽しむために短時間で作る浅漬けや、長時間漬けこむことで味の浸透や熟成をうながす古漬けのように保存性の高いものがあり、同じ食材でも漬ける時間によって異なる味わいを楽しむことができる。
生の野菜を漬けこむことで、旬の野菜を楽しむことができる
日本には、地域の特産物を使い、そのおいしさを増すために考えだされた漬物が各地にある。身欠きニシン(ニシンの干物)をキャベツなどと一緒にこうじで漬けこんだ北海道のニシン漬けや、いぶした大根をぬかで漬けた秋田のいぶりがっこ、食感がみずみずしい長野の野沢菜漬け、ほのかに甘い東京のべったら漬け、澄んだ酸味が特徴の京都のすぐき漬け、パパイヤの実をみそやしょうゆで漬ける鹿児島のパパイヤ漬けなど、全国に約600種類以上の漬物があるといわれるほど、そのバリエーションは実に多彩だ。
近年漬物は、健康食品としてその価値を見直されているが、その中でも野菜のぬか漬けは、食物繊維も豊富であることから注目を集めている。ぬか漬けは、ぬかに食塩と水を加えてよく混ぜ合わせて作ったぬか床に、きゅうりやなす、大根などの野菜を漬けることで発酵が進み、独特の風味が作りだされる。腸内環境の改善や美肌、免疫力の向上などの効果があるとされ、また植物性乳酸菌の宝庫といわれるぬか床には、疲労回復を促進するとされるビタミンB1も多く含まれている。
各地に伝わる漬物を食べ比べてみるもよし。食欲をそそる香りと食感を楽しみながら、漬物に秘められた豊かなパワーを召し上がれ。