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2021 NO.30
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街歩きにっぽん
東・西・北の三方向が山、南が海に面した鎌倉は、山と海のそれぞれの自然を、市内のいたるところで楽しむことができる。
おもむきのある寺社などにも数多く出会える武家の古都・鎌倉の街を歩いてみよう。
鎌倉は、12世紀末から13世紀に日本ではじめて武家が政権を樹立し都市づくりをした街である。政治や文化など、あらゆる面で日本の中心として栄えた華やかな歴史を持つ。こうした長い歴史を刻む神社仏閣などと、四季折々の眺めをあわせて味わえるのが、鎌倉散策の醍醐味といえる。それには北鎌倉駅から歩を進めるのがおすすめだ。北鎌倉駅の周辺には、春の桜や秋の紅葉の名所として知られる円覚寺や、あじさい寺の愛称で親しまれている明月院などの数々の名刹があり、一年を通じてさまざまな草花が楽しめる。
古都の眺めを満喫しながら鎌倉駅方面へと南下していくと、多くの参拝客や観光客でにぎわう鶴岡八幡宮の威容が見えてくる。鎌倉の文化の起点ともいえる中心的な存在で、1月1日に行われる歳旦祭をはじめ、鎌倉武士さながらの狩装束に身を包んだ射手が、馬で駆けながら的を射抜く勇壮な流鏑馬神事など、数多くの伝統的な行事が行われている。
さらに鶴岡八幡宮から金沢街道沿いを東へと歩いてみよう。金沢街道の周辺は、数々のおもむきのある寺社と出会うことができるエリアだ。杉本寺は、苔むした石段と茅葺き屋根が歴史を感じさせる古刹で、境内から眼下に広がる市内を見晴らすことができる。浄妙寺の広い境内も散策には最適なくつろげる場所だ。本堂脇にある茶室からの日本庭園の眺めには、きっと心を癒やされることだろう。