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2019 NO.25
ニッポンみやげ

甲州印伝
写真:藤巻百貨店(銀座店)
協力:印傳の山本

印伝は、鹿革に漆で模様を付けた装飾革製品です。
一説によると、最初の印伝がつくられたのは江戸時代の寛永年間(1624~1643)のこと。日本人は、インドから幕府に献上された美しい装飾革から発想を得て、日本独自の装飾革を生み出したのです。
伝統工芸としての印伝は、現在、山梨県の甲府市周辺で受け継がれているのみです。この地域は昔、甲州と呼ばれたことから、この地域でつくられた印伝は「甲州印伝」と名づけられています。漆を装飾に用いるという甲州発祥のユニークな加工は当時の人々の目を引きました。
古くは鎧や兜、巾着、現在では財布やバッグなどもつくられるようになった甲州印伝。鹿革でつくられた品は強度や耐久性に優れ、使うほどに見た目や質感が変化し、漆の模様とともに味わいが増します。
小桜、波、トンボなど、日本の四季を感じさせる伝統的な模様が定番ですが、最近ではアニメやゲームのキャラクターを文様にしたものも登場するなど、時代とともに種類を増やし続けています。
独特の立体模様によって鹿革の表面に生み出される美しい陰影に、日本の美を感じてみませんか。