2019 NO.25

街歩きにっぽん街歩きにっぽん

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約四百年の歴史をもつ津軽地方の城下町弘前

地図

協力:弘前市役所、津軽藩ねぷた村
写真:弘前観光コンベンション協会、金井 元
   桜ヶ丘保育園、大塚知則、東田裕二/アフロ
   アマナイメージズ

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弘前市は青森県の西部に位置する街。津軽地方と呼ばれるこの地域の中で、政治・経済・文化の中心地として繁栄してきた本州最北の城下町だ。

「弘前ねぷた」という祭りが行われる地として全国的に有名な弘前市には、毎年8月になるとこの祭りを目当てに国内外から多くの観光客が訪れる。弘前ねぷたは、1980年に重要無形民俗文化財に指定された歴史ある祭りで、表と裏で異なる絵が描かれた扇型の灯篭の山車が、まばゆい光を放ちながら力強い掛け声とともに町中を練り歩く様は実に圧巻だ。子どもたちによる「子供ねぷた」も行われ、祭りをともに盛り上げる。小さな山車灯篭とともに、金魚の形をした「金魚ねぷた」を手に持って歩く子どもたちの姿はとてもかわいらしく、思わず笑みがこぼれる。

この弘前市は、津軽塗の産地としての顔も持つ。塗りと研ぎを何度も繰り返し、独特の模様を表現する津軽塗は、日本の数ある漆器の中でも大変手間がかかることで有名で、期間にすると半年ほどの時間を要することもあるという。代表的な「唐塗」は色漆の断層が美しく、幾重にも塗られた漆によって重厚な雰囲気を持つ。市内にはこの津軽塗を見ることができる弘前市立観光館、体験できる津軽藩ねぷた村などの施設があるので訪れてみるのもよいだろう。

津軽塗の重箱。津軽塗は写真の「唐塗」をはじめとして、独特な文様が特徴。

ななこ塗の茶櫃。津軽塗には、菜種の実を蒔いた上に色漆を塗り込み、研ぎ出した「ななこ塗」と呼ばれる技法などがある。

「錦塗」の盆。ななこ塗の変化の一種で、地に模様を加える。