2019 NO.25

日本の漆工芸

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地域のさまざまな漆器

京都から江戸、そして全国へと広がった漆器。
ここでは、日本各地でつくられている漆器の中から、見た目や技法が特徴的なものをご紹介します。

① 岩手

浄法寺塗

漆の産地でもあるため、漆本来の美しさが際立つよう、あえて余分な装飾を施さないのが特徴。

(写真提供/岩手県二戸市漆産業課)

② 福島

会津塗

日本で縁起が良いとされる「松竹梅」の樹木や糸車と「破魔矢」と呼ばれる魔物を払う矢をあしらった「会津絵」が有名。その他にも豊富な技法を持つ。

(写真提供/福西惣兵衛商店)

③ 新潟

新潟漆器

錆で竹の筋や節目などを精巧に表現した「竹塗」という独特の技法で知られる。

(写真提供/新潟漆器株式会社)

④ 石川

木地の山中、塗りの輪島、蒔絵の金沢と称される3つの漆器産地

1輪島塗

下地を作る際に、消耗しやすい部分に布を漆で貼り、さらにその上に「輪島地の粉」(ガラス質の微化石・鉱物)を混ぜた漆を塗ることで堅牢な漆器になっている。

(写真提供/わじま塗の津田)

2金沢漆器

高度な「蒔絵」の技法による、豪華できらびやかな美しさが特徴。かつてこの地が加賀と呼ばれていたことから「加賀蒔絵」と呼ばれている。

(写真提供/金沢漆器商工業協同組合)

3山中漆器

下地の木目の美しさと、木地の表面に凹凸の模様を施す「加飾挽き」と呼ばれる技法が特徴。

(写真提供/山中漆器連合協同組合)

⑤ 福井

越前漆器

非常に丈夫で実用面に優れた漆器。素早くきれいに塗られた艶やかで深い独特な光沢も特徴。

(写真提供/越前漆器協同組合)

⑥ 岐阜

飛騨春慶

木目の美しさを活かした素朴ながらも透明感のある琥珀色が特徴。

(写真提供/戸沢漆器)

⑦ 京都

京漆器

平安時代(8世紀頃)から連綿と伝わり、茶の湯の文化とともに広まった漆器らしく繊細さと内面的な深い味わいを備えている。洗練された優美なデザインが特徴。

(写真提供/京都漆器工芸協同組合)

⑧ 和歌山

紀州漆器

下地の黒漆の上に朱漆を塗った後で、あえて朱漆を研ぎ出し(炭などで表面の漆を研ぐ技法)、下地の黒をわずかに見せる「根来塗り」と呼ばれる技法で有名。

(写真提供/紀州漆器協同組合)

⑨ 香川

香川漆器

彫刻刀で彫り込むことにより、独特な陰影を生み出す線模様が特徴的な「象谷塗り」と呼ばれる手法で有名。

(写真提供/一和堂工芸株式会社)

⑩ 沖縄

琉球漆器

主に艶のある朱漆や黒漆を用い、漆を塗っただけで仕上げる「塗立」と呼ばれる技法で知られる。南国的な模様も特徴。

(写真提供/角萬漆器)