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2019 NO.25
召し上がれ、日本

雑煮
地域性豊かな日本の伝統料理
写真:Shutterstock.com、吉澤菜穂/アフロ
上/四角い餅にすまし仕立ての雑煮
下/丸餅に白味噌仕立ての雑煮
雑煮は餅と人参や大根などの具を煮た汁物。主に正月に食べる伝統的な日本料理です。
大晦日に神仏に供えた供物をお下がりとして正月の日の出後に煮て食べたのがはじまりといわれており、江戸時代(17~19世紀)に一般庶民に広まり、一年の無事を祈願する縁起物の料理に変化し定着していったとされています。
雑煮は沖縄を除く日本各地で食べる風習がありますが、地域により汁、餅の形、具に大きな違いがあります。
東日本の地域では、四角い角餅を用いますが、雑煮発祥の地とされる京都とその影響を受けた西日本の地域は主に縁起物と言われる丸い形の丸餅を用います。それぞれ調理法も異なり、角餅は主に焼いて、丸餅は主に茹でて食べられます。
汁は鰹節や昆布などから取っただし汁に醤油と塩で味付けをした透明な「すまし汁」が多く、次に味噌を数種調合した「合わせ味噌」、白く甘みのある「白味噌」の味付けと続きます。餅以外の具はほうれん草や人参、香り付けに柚子、三ツ葉などが加えられますが、これも地域によってバラエティに富んでいます。
これら、地域の色が強く反映された雑煮は主に漆器に盛りつけられ食卓に並びます。色とりどりの食材は同じく地域性豊かな漆器の中で艶やかに浮かび上がり、心地よいぬくもりを手と口から伝えます。
地域によってさまざまな顔を持つ雑煮。この食文化は漆器文化と通じるものがあるようです。
東京をはじめとしたほとんどの地域では「すまし汁」(左)を使った雑煮が多く、京都などの関西圏では主に白味噌の汁(右)を使う雑煮が多い。