2013 No.10

街歩き、にっぽん街歩き、にっぽん

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宮島
嚴島神社

宮島 嚴島神社の場所

嚴島神社の壮麗な社殿が建てられたのは、およそ850年前。武士として日本で初めて政権を握った平清盛が整備したものだが、中国との貿易をさかんに行って経済力も蓄えた清盛にとって、瀬戸内海航路はきわめて重要だった。その航路の要衝にあり、航海の神をまつる島を清盛はあつく信仰していた。現在の本殿は、16世紀に建て直されたものだが、清盛の時代の姿をよく伝えているという。本殿を中心に、いくつもの社殿が海に向かって翼を広げるように回廊で結ばれ、中央には大鳥居に向かって長い舞台が延びている。満潮時ともなれば、緑の山を背に朱色の社殿が海に浮かぶ景観がじつに美しい。

干潮時に訪れたなら、海中の大鳥居まで歩いていくことができる。高さ16m、幅24mの大鳥居を真下から仰ぎ見ると、その存在感と迫力は圧倒的。5tという自らの重みが浮力に勝ち、倒れないというから驚きだ。

瀬戸内海にもやがかかった神秘的な風景

瀬戸内海にもやがかかった神秘的な風景。
居合わせた人たちは歓声をあげ、何度もシャッターを切っていた

もみじまんじゅう

もみじまんじゅうの中身は、こし餡のほか、粒餡、カスタード、チョコレート、抹茶などさまざまな味がある

神社を参拝した後は、宮島の最高峰・弥山に上ろう。山全体が信仰の対象であった弥山には、現在も豊かな原生林が残る。秋には紅葉で美しく彩られるという紅葉谷公園のほど近くに、ロープウエー乗り場がある。ロープウエーでおよそ20分間の空中散歩を楽しむと、終点駅に到着。駅近くの獅子岩展望台からは、瀬戸内海に浮かぶ島々の絶景が見渡せた。

弥山を下りたら、みやげ物店や食事処が軒を連ねる表参道へ。宮島みやげの定番といえば、モミジの葉をかたどったカステラ生地の中にこし餡などを入れた「もみじまんじゅう」だ。表参道の店頭でつくっている店も多いので、焼きたてをぜひ味わいたい。もうひとつの定番は、福を運ぶといわれる宮島杓子。杓子し(しゃもじ)とはご飯をよそう道具のこと。表参道にある専門店には、ふだん使いの実用品はもちろん、「商売繁盛」「家内安全」などの願いごとが書かれた杓子がずらりと並ぶ。
「店頭で名前を入れるサービスをしています。外国人の方からは、ご自分の名前を漢字で書くよう注文されることが多いです」と店員さん。

店を出てしばらく歩くと、どこからともなくいい匂いがただよってきた。店頭でカキを焼いているのだ。宮島近海はカキの産地としても有名なので、さっそく注文してみる。散策の合間の軽食にちょうどいい。

日が落ちて宮島が夕闇に包まれるころ、嚴島神社はまた別の表情を見せる。日没過ぎから夜の11時まで、大鳥居や社殿のライトアップが行われるのだ。暗い海に浮かび上がる鳥居や社殿はまさに幻想的。社殿に向かって手を合わせ、神々の島で過ごした一日に感謝し、宿に向かった。

「杓子の家」

「杓子の家」では、さまざまな杓子のほか、へらやバターナイフもそろう。小さな杓子形ストラップにも、名前など好みの文字を入れてくれる

神社へ続く表参道

神社へ続く表参道では、嚴島神社で結婚式を挙げたのか、人力車に乗った新婚夫婦を見かけた

「宮島の牡蠣くん」代表山田さん
「宮島の牡蠣くん」

左/カキは焼き加減が命、と言う「宮島の牡蠣くん」の代表山田さん。ここでしか味わえないカキグラタンもおためしあれ
右/表参道のにぎやかさから逃れ、かつての目抜き通り、町家通りへ。前方に見えるのは、1407年に建てられた五重塔だ

かつての目抜き通り、町家通り
、ライトアップされた大鳥居

夕暮れ時からは、ライトアップされた大鳥居をくぐる船も出る

宮島の交通案内地図

● 交通案内
成田空港から成田エクスプレスで東京駅へ約60分。
東海道・山陽新幹線で広島駅まで約4時間(空路なら羽田空港から飛行機で広島空港まで約80分。
バスで広島駅まで約50分)。JR山陽本線で宮島口駅まで約30分。宮島フェリーで宮島まで約10分。

● 問い合わせ
宮島観光公式サイト(英語・中国語・韓国語・フランス語・ドイツ語)http://visit-miyajima-japan.com/en/
宮島観光協会(英語・中国語・韓国語・フランス語・ドイツ語)http://www.miyajima.or.jp/