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Super Figure Kanako / Shokichiイラスト (C)玉置勉強
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第3話
可奈子も視線の意味に気づいたようで、真っ白い断面をさらした自分の腕を見る。骨や血管などは見当たらず、つるりとした断面だ。
カプセルには可奈子のパーツが封入されていたが、右腕のパーツだけが欠けていたのだ。
「あああ!」
可奈子は重大なことを思い出したような顔をして、知也の胸倉をつかんだ。身長は小学校低学年ぐらいなのに、ものすごい力だった。
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「私の腕、どこにやったの」
「し、知らない」
「右腕だけ組み忘れたの?」
「最初から、なかった」
「最初から、なかった?」
可奈子は胸倉を開放した。咳きこむ知也を無視し、思案投げ首で部屋をうろうろする。
「私のカプセルを手に入れたのはどこ」
「中野。中野ブロードウェイ」
「カプセルは全部集めたんでしょうね」
「集めた。いや、たぶんだけど」
「ふうん」
とうなずき、可奈子は歩く進路を変えた。床に散乱する本やDVDを踏みつけ、しかしフィギュアだけは絶対に踏まず、知也の眼前に仁王立ちになる。
「あたしの右腕は中野ブロードウェイのどこかにある。探すのを手伝いなさい」
「いきなりそんなこと言われても」
「でなきゃ、人権侵害で訴える」
「人権って……」
「人形の権利」
可奈子は小憎らしく笑って言った。
こいつは絶対、悪霊のたぐいだ。

Copyright (C) Shokichi/Web Japan, English translation (C) John Brennan 2008.
Edited by Japan Echo Inc.