2019 NO.27

オリンピックがやって来る!

1

世界のスポーツへとはばたく日本武道

1 2 3

柔道 Judo

2018年のグランドスラム(柔道の国際大会)男子90kg級で優勝した向翔一郎選手(左)とジョージアのウシャンギ・マルギアニ選手
写真=松尾/アフロスポーツ

国際競技へと進化を遂げた

柔道は、日本古来の格闘技である「柔術」から生まれた武道だ。投げ技や固め技など相手の力を巧みに利用するのが技の特徴だ。

柔道の競技は、8~10m四方の競技場で、ふたりの選手が組み合って行う。投げ技でほぼあお向けに倒した時や、固め技で規定時間を超えて抑え込んだ時など、勝負が決したことを意味する「一本」が宣告される。完全に技が決まっていない場合は「技あり」が下され、これを2回取れば「合わせ技一本」とみなされて勝敗が決する。また「技あり」は「一本」がなかった時に「優勢勝ち」を決めるポイントにもなる。

男子柔道は1964年の東京オリンピックから、女子柔道は1992年のバルセロナオリンピックから、それぞれ正式競技に採用された。現在、国際柔道連盟には200以上の国と地域が加盟しており、日本を上回る登録競技人口を抱えるフランスをはじめ、世界各国で強力な柔道選手が誕生している。発祥国の日本だけではなく、各国の文化と混じり合いながら独特のスタイルが生まれていくことで、柔道はこれからも国際スポーツとして発展し続けていくだろう。

視覚障がい者によるパラリンピック柔道

視覚障がい者柔道は、1988年のソウルパラリンピックから正式種目となった。見え方の程度にかかわらず、オリンピック競技と同様、男女と階級で分けられている。

オリンピック柔道との違いは、選手がお互いに組み合った状態から始まるところ。そこからいかに相手を崩すかが勝負の分かれ目となり、試合中は全力で技のかけ合いが続く。片時も目を離せないスピーディーな展開は、パラリンピック柔道の大きな見どころだ。

2016年リオパラリンピック視覚障がい者柔道57kg級で銅メダルを獲得した廣瀬順子選手(左)とアゼルバイジャンのサビーナ・アブドラエヴァ選手
写真=アフロスポーツ

視覚障がい者柔道は、互いに組み合ってから試合が始まる
写真=アフロスポーツ