2019 NO.27

オリンピックがやって来る!

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世界のスポーツへとはばたく日本武道

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はじめてでも100倍楽しい
空手競技観戦のコツ

「形」の見どころ
オリンピックの試合形式を知ろう!

オリンピックの「形」の競技には、国や地域の代表が計10人出場する。決勝まで進んだ選手は、計4回の演武を行う。

観戦のポイント

競技大会中、ひとつの「形」は1度しか使えません。得意な「形」をどのタイミングで繰り出すかといった選手の作戦や駆け引きにも注目してください。

準決勝で行われた順位付けに基づき、グループ1の2位とグループ2の3位、グループ1の3位とグループ2の2位が、それぞれ3位決定戦を行い、1位同士による決勝戦が行われる

「気合い」のタイミングを見逃すな!

「形」の流れの中で仮想の相手を倒す瞬間に「気合い」をかける場面がある。そのタイミングは「形」によって異なるが、掛け声とともに「突き」や「蹴り」などの大きな技が繰り出され、「形」の最高潮ともいえる瞬間だ。

「突き」の気合い
「蹴り」の気合い
観戦のポイント

「気合い」は連続する技の一区切り。選手としても力が入ります。決まった時は、ぜひ拍手と声援を送ってください。

受けの姿勢から飛び、空中で繰り出す

流派による「形」の違いを楽しもう!

競技中に使える「形」は98種類。おもに糸東流・剛柔流・松濤館流・和道流の「四大流派」で構成されている。現在、多く演じられるのは糸東流と剛柔流。流派による動きの違いも、「形」を楽しむポイントだ。

糸東流

「チャタンヤラクーシャンクー」
相手が少し離れたところにいることを想定した、すばやく直線的な動きが特徴。スピード感とキレのよさが見どころ。

剛柔流

「スーパーリンペイ」
接近戦を想定し、相手の攻撃をいなしながら技を繰り出す曲線的な動きが特徴。やわらかさの中に豪快な動きが繰り出されるのが見どころ。

川崎衣美子(かわさき・えみこ)
第59回全日本学生空手道選手権大会女子形優勝。第10回アジアジュニア&カデット空手道選手権大会優勝
写真=逢坂 聡

観戦のポイント

動きの先に仮想の相手を想像しながら見ると、競技がもっと楽しめます。選手の後方から観戦すると、選手といっしょに戦っている気持ちになれるので、おすすめです。

「組手」の見どころ

組手の試合に挑む、植草歩選手(右)とギリシャのエレニ・ハジリアドゥ選手 写真提供=空手道マガジン JKFan

「組手」はふたりの選手が1対1で戦い、勝者がトーナメント方式で勝ち抜いていく競技。試合では、決められた部位に「突き」「蹴り」「打ち」の3種類で攻撃を繰り出し、技の有効ポイントの多さで競う。実際に相手に打撃を与えるのではなく、寸前で技を「極める(寸止めする)」ところに特徴がある。

距離と時間を駆け引きするのが、「組手」の見どころ。お互いに攻撃が及ばない、あるいは攻撃されても防御できる位置取りを「間合い」という。「間合い」に入ると試合が一瞬で動くので、その瞬間を見逃さないようにしたい。