2019 NO.27

オリンピックがやって来る!

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オリンピックを支える技術

選手、観客、運営スタッフなどオリンピックに集う全ての人びとを迎え、もてなし、支援する、日本のさまざまな技術を紹介。

「未来」と「永遠(とわ)」が結びついた名前を持つ東京2020オリンピックマスコットの「ミライトワ」(左)と、日本の代表的な桜の品種「ソメイヨシノ」と「somighty(とても力強い)」から名付けられた、東京2020パラリンピックマスコットの「ソメイティ」(右)
©Tokyo 2020

未来の乗り物が東京を走る
燃料電池バス

写真提供=トヨタ自動車「SORA」

水素を空気中の酸素と化学反応させて電気を発生させる燃料電池を動力源とし、走行時に二酸化炭素や環境負荷物質を排出しない燃料電池バス。環境に優しいのはもちろん、加速が滑らかで騒音が少なく、乗り心地も快適だ。2020年までに東京を中心に100台以上が導入され、会期中は羽田空港周辺を走る予定。大会を機に、未来の乗り物がぐっと身近になりそうだ。
2019年7月現在

選手と一体になり、F1カーのように走る
陸上競技用車いす

写真提供=オーエックスエンジニアリング

もともとバイク事業を展開していたメーカーが手がけた陸上競技用の車いす「CARBON GPX」。豊富なレース経験を活かし、選手の要望や身体状況に応じて職人が手作業でカスタマイズする細やかな作りは、内外のパラリンピアンを魅了する。フレームは炭素繊維と樹脂の複合素材で極限まで軽量化され、トップアスリートによる最高時速は35㎞以上に達する。

来場するみんなと触れ合う
東京2020マスコットロボット

写真提供=トヨタ自動車
©Tokyo 2020

頭部のカメラで近づく人を認識すると、目の表情と小型関節ユニットが作り出す自然な動作でさまざまな感情を表現しながらコミュニケーションする。遠隔地の別のロボットとの連動も検討されている。

正確かつ素早い
顔認証システム

写真提供=NEC

オリンピック・パラリンピック大会史上初導入となる顔認証システム。大会関係者は、ゲートの装置に顔を写しICチップ搭載のIDカードをかざすだけで、事前登録した顔画像がシステム内でリンクし本人確認が完了する。顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響(人の耳に聞こえない音で識別)などの生体認証技術で70以上の国と地域に1000以上のシステムを導入してきた世界トップクラスの精度が、本人確認をより正確に迅速に行ってくれる。

大会中の重労働を軽減
パワーアシストスーツ

写真提供=パナソニック「ATOUN MODEL Y」

角度センサーやモーターなど日本の優れたロボット技術の粋を集めたスーツは、気軽に装着できて作業時の腰の負担を約40%も軽減する。大会関係者が食料や廃棄物を運んだり、荷物をバスへ積み込んだりするシーンでの活躍が期待される。すでに建築や介護の現場で使われており、機能は実証済みだ。

車いすの観客をもてなす
生活支援ロボット

写真提供=トヨタ自動車「HSR」「DSR」

これまで多様なパートナーロボットを産み出してきた日本を代表する自動車メーカーが今大会で、車いすの観客のためのロボットを発表した。小型のボディから伸び縮みするアームを出して食事を運んだり、床のものを拾ったり。また車いす席から飲み物を注文すると、席まで運び、手渡ししてもくれる。このロボットの働きで、車いすの観客は心ゆくまで観戦を楽しめることだろう。