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2019 NO.27
ニッポンみやげ
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大地を踏みしめて走る
ランニング用足袋
写真●逢坂 聡
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地下足袋風のランニングシューズ 「MUTEKI」(中央)と「Toe-Bi(トゥービ)」(右上。2点とも協力/きねや) 左上/作業現場で役立つ地下足袋 右下/和装にあわせる一般的な白足袋
日本の伝統的な履きものである「足袋」は、つま先が、親指とその他の4本の指を入れる部分とで二股に分かれている。その独特の形状により、密着感があり、とても動きやすいという利便性がある。古くは皮でつくられ、のちに絹製や木綿製が普及した。19世紀末頃(明治時代)になると、屋外でもそのまま歩けるゴム底付きの「地下足袋」が登場。足の裏の感覚が得やすくて滑りにくいため、今もなお建築や林業などの現場で愛用されている。
洋装が普通になった現代日本人の足元に、足袋や地下足袋が見られる機会は減った。しかし、近年、ランニングシューズの過剰な保護性能がケガにつながりやすいという考え方から、再び足袋に注目が集まっている。底が薄く素足に近い感覚で走れる点を支持するランナーが増え、ランニング機能を持たせた地下足袋シューズが人気を博しているのだ。古来親しまれてきた足袋という形の利便性を、ぜひジョギングで体感してみてほしい。