2019 NO.27

街歩きにっぽん街歩きにっぽん

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未来と伝統が行き交うベイエリア
お台場・豊洲

地図
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一方、豊洲は1923年に起きた関東大震災の瓦礫処理をきっかけに埋め立てが進められた地域で、かつては造船所などが並ぶ工業地帯だった。豊洲の街を巡ると、埠頭と貨物駅を結ぶ列車が走っていた晴海橋梁など、数多くの産業遺構に出合う。船の錨やスクリューを再利用したアートモニュメントが57カ所に点在し、子どもたちやカップルが憩う人気スポットになっている。

また近年、住宅地としての開発が進み、タワーマンションが林立する東京の新興居住区となっている。「SPORT × ART」が街づくりのテーマとして掲げられ、劇場やスポーツ施設の整備も進む。例えば、豊洲ぐるり公園は豊洲一帯にU字形にレイアウトされた全長約4.5kmの周遊型の公園で、東京の新たなランニングエリアとして注目を集める。もちろん、2018年に開場した豊洲市場も必ず訪れたい場所だ。各種見学コースも多く、世界中からやって来る観光客をあたたかく迎えている。

船の錨を用いたアートモニュメント(左)や晴海橋梁(右)など、豊洲にはかつて造船で栄えた歴史を物語る産業遺構が数多く残る

これからの豊洲の街づくりのテーマとなる「SPORT×ART」を代表する施設「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」

余裕があれば、隣接する月島や佃といった下町にも足を延ばしてみたい。タワーマンションの足元に古くからの街並みが残され、昔ながらの東京の風情を感じることができる。月島には、名物のもんじゃ焼きを提供する店舗が軒を連ねる通りがあり、また佃島では、地名の由来となった佃煮(魚などを甘辛く煮た保存食)を作り続ける老舗店が残されているので、伝統的な東京の味を堪能したい。

東京の新しい顔として進化を続けながら、土地の歴史が随所に残されるお台場・豊洲。新旧の豊かな表情を比べながら散策を楽しんでほしい。

1837年創業の佃煮の老舗である「天安本店」。佃煮は、貝類、海藻、小魚などを醤油や砂糖で煮込んで作る保存食

左/もんじゃ焼きは、薄く溶いた小麦粉生地に肉や野菜、魚介を混ぜて焼いたもの。「もん吉」は秘伝のダシを使った生地が有名な人気店
右/もんじゃ焼きの具

お台場・豊洲エリア地図

①産業遺構 ②新豊洲Brilliaランニングスタジアム ③東京都中央卸売市場 豊洲市場 ④台場公園 ⑤お台場スケートパーク ⑥THE GUNDAM BASE TOKYO ⑦東京国際クルーズターミナル

●交通案内

成田空港から浅草へは、京成成田スカイアクセス線の特急で約60分。水上バスの所要時間は、浅草からお台場海浜公園までは約50分、豊洲までは約70分。

●問い合わせ

東京クルーズ(水上バス)
https://www.suijobus.co.jp/
東京の観光公式サイト「GO TOKYO」
https://www.gotokyo.org