2019 NO.26

ようこそ、日本の庭へ

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日本庭園をつくる人

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日本庭園を維持する庭師たち。
彼らはどんな意識で庭造りに携わっているのだろう。

協力:植彌加藤造園株式会社
文:上江洲規子 撮影:金井 元

大好きな庭
庭師全員でつくりあげる喜び

半田沙奈絵さん(植彌加藤造園 庭師)

入社4年目の半田沙奈絵さんは、中学の修学旅行で見た京都の日本庭園の自然の良さを生かす美しさに心を動かされた。「ずっと憧れていた仕事なので、入社後に初めて庭園内に張られたロープ柵の中に入り、苔の上にしゃがみこんで草を引いたとき、喜びが湧き上がってきました」

庭にいられること自体が幸せだと語る半田さんは、仕事が楽しくて仕方ないのだという。入社してから数年は、作業を学びながら野花の研究に携わった。その知識を活かし、庭園に来園する人に見てもらう野花のファイルなども作成している。「庭園のすみずみまで目を配りながら、どの程度野花を残すのか考え、一日中でも草引き作業に集中できるのは、女性ならではの感性、長所ではないでしょうか」今は京都の南禅寺の下草管理にも携わっているという。南禅寺は国の重要文化財の種類の1つである「名勝」と指定されている庭を擁する有名な寺だ。

「月に一度、社長や先輩たちが様子を見てくださって、いろいろアドバイスしてもらえます」と、庭師同士が協力し合いながら、庭園と関わる姿が印象的だ。庭師全員でつくりあげる日本の庭園に半田さんは大きなやりがいを感じている。

庭園内の草花の状態をみて、手入れをする半田さん。

左下から、草取用のこぎり、剪定ばさみ、植木ばさみ、剪定のこぎり。道具は自分に合うものを自分で購入する。

作業中に来園者に声をかけられた時に対応するのも庭師の仕事。庭師は庭園を演出する役割も担っている。