niponica is a web magazine that introduces modern Japan to people all over the world.
2017 No.21
街歩きにっぽん
飛騨古川駅から20分ほど電車に乗ると高山駅に着く。飛騨高山(高山駅周辺の観光地を指す)といえば、真っ先に思い出されるのは古い町並だろう。17世紀の初めに、領主の金森長近が築いた高山城を中心に発展した城下町だ。江戸時代(1603〜1867)の風情を残す家屋が軒を連ねるふたつの伝統的建造物群保存地区は、観光の中心地。観光客をのせた人力車をよけながら、名物の「飛騨牛串」や串にさした醤油味の「みたらしだんご」(全国的には甘辛だれが絡んだおやつとしての「みたらし団子」が多いが、飛騨の団子は軽い食事のように食される)を食ベるのが旅の定番だ。造り酒屋に立ち寄り、日本酒に舌鼓を打つもよし。愛嬌ある猿の赤ん坊の人形「さるぼぼ」をお土産に買うもよし。ちなみに、映画『君の名は。』でも、このさるぼぼが弁当を包む布の模様になっていた。
街の中を流れる宮川沿いには、高山陣屋がある。徳川幕府(1603〜1867)下の役所として日本各地60カ所にこうした陣屋と呼ばれた建物が置かれたというが、現存するのはここのみ。宮川にかかる中橋を眺めるなら陣屋のあたりから。春の訪れが遅い飛騨では、中橋にかかる桜を鑑賞できる時期も長い。毎日朝から正午まで行われている朝市も見逃がせない。日本三大朝市のひとつである宮川朝市と陣屋前朝市を訪ねるのなら早起きは必須だ。
4月14、15日は春の高山祭、「山王祭」も開催され、12台の豪華絢爛な屋台が行列をなす。秋の高山祭こと「八幡祭」は10月9、10日に行われ、からくり人形を積んだ屋台などが、夜まで街を練り歩く。
桜色に染まる春、若葉がまぶしい夏、紅葉が燃える秋、深い雪に覆われる冬。どの季節も飛騨高山の町並は、絵はがきのように美しい。