2017 No.21

召し上がれ、日本召し上がれ、日本

7

Japanese Street Food
クレープ

写真:石原秀樹・マリオンクレープ

人気メニュー「バナナチョコクリーム」(奥)と「いちごチョコチーズケーキクリーム」(手前)。焼きあがるとくるくるとコーン型に巻かれた姿で提供される

クレープ屋台の先駆け、「マリオンクレープ」が東京・原宿の竹下通りに出店したのは1977年。当時は週末に竹下通りをぶらぶら歩き、屋台で買ったクレープをかじりながら、ストリートパフォーマーに溢れる原宿の歩行者天国を眺めるのが、全国の若者の憧れとなった。そして原宿は今、日本独自のファッションカルチャーの中心地として、日本の若者と外国人観光客で常ににぎわっている。

フランス・ブルターニュ地方発祥のクレープは、日本に上陸以来、本国とはまったく違う形に進化してきた。フランスでは定番のバター&シュガーや、チョコレートをはさんだクレープも、100種類はあるといわれる屋台クレープのメニューのどこかに残っているはずだが、日本で圧倒的な人気を誇るのは今も昔も「バナナチョコクリーム」。クレープ登場以前、喫茶店で人気を独占していたスイーツであるパフェやトッピングが山盛りのホットケーキの流れをくみ、日本式クレープにはそのうち自然とホイップクリームやアイスクリームが包まれるようになった。最近ではあんこやチーズケーキ、軽食にもなるハンバーグやツナ、チーズが入ったものまであり、この40年間の日本の食文化における変化がギュッと凝縮されているかのようだ。コーン型に巻かれたクレープは、今では立派な日本のポップフードになっている。

クレープ片手にウィンドウショッピングを楽しむ姿は、原宿・竹下通りならではの光景

目移りしてしまうほどの多彩で豊富なメニュー。季節によって変わる限定メニューも見逃せない