2017 No.21

ニッポンのPOP最前線!

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COVER ARTIST KASICO INTERVIEW
浮世絵、SUSHI、VR。日本のポップはタフである

日本のポップカルチャーの最前線にいるトップアーティスト"KASICO"さん。今号の表紙は、そのKASICOさんの描き下ろし作品だ。

「目まぐるしく変化していくポップシーンをビジュアルで表現するために、浮世絵を象徴とする伝統美の世界、そこに僕が今、感じている色彩やモチーフを描き込みました。こうしたミックス感が、僕が思う"ニッポン"なんです」

日本のポップカルチャーは、良くも悪くも「ごちゃごちゃしている」と、KASICOさん。それが他の国のそれとは一線を画した独自現象だと分析している。

「小さい流行り(バズ)があちこちに起きていますから、私たち日本人でさえ、全てを追い切れません。言い換えれば、それほど多様なシーンが混ざり混ざって、巨大なポップカルチャーを形成しているのです。海外から入ってきたものと、日本独自のものが渾然一体となったものすごいバランス感。そういうところが面白いと思っています」


オリジナルイラスト「Recurrence」

決して一方向に偏ることなく、小さなバズがあちこちで炸裂している日本のポップシーン。そこでも目立つことなく横並びになろうとする日本人のメンタリティが出ている反面、その真逆で独自の世界観を持とうとする動きも共存する。もはや恥ずかしがっているのか、恥ずかしくないのか? そうした二面性が成立するスタンスもまた、KASICOさんが切り取る日本のポップカルチャーのリアリティである。

「自分の中では、ポップであることが大事だと思っています。ポップとは、すなわち耐久性。デザインを分かりやすく落とし込むことによって、表現にタフさが加わると思うんです。日本には次々に新たな流行が出現する風潮がありますが、その多くは一瞬で消えていきます。そうやって勝ち残ったものがタフであるからこそ、日本のポップカルチャーは世界の人たちに理解され、共感されるのではないでしょうか」



KASICO

アートディレクター/グラフィックアーティスト。デザイン会社を経て2013年より独立。音楽や広告、ガールズカルチャーのクリエイティブを中心に、グラフィック、映像、アニメーション、テキスタイルデザインなどを用いたグラフィカルで明快な表現で、トータルなディレクションを得意とする。ポートレイト写真とGIFアニメーションを使った新感覚のファッション グラビアサイト「グラフィックガール」を運営。
http://kasico.jp/


テレビ番組オープニング映像(2016)

HARAJUKU KAWAii!! WEEK 2015 キービジュアル(2015)