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2019 NO.25
日本の漆工芸
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日本の手仕事
~漆器をうみだす職人たち~
【木地作り】
土台を疎かにしない心が、より強い漆器をつくりだす。
漆器の原型を木でつくる仕事が木地作りである。木地師と呼ばれる職人が、注文に応じた形に仕上げていく。
木地作りには、数カ月~何年もかけて乾燥された「ブロック」と呼ばれる大まかに切られた木が用いられる。ブロックはろくろに固定し、先ずは「荒挽き」(写真1)を行う。荒挽きの段階では、木に残っていた水分がさらに乾燥して器が小さくなることを見越して、仕上がり寸法より厚めに削り、削り終わったら一気に乾燥させ、水の含有量を減らすという作業を繰り返し行う。これは、木の動きを止めるための工程で、木は切られてからも生きて呼吸しているため、薄く加工された木地が空気中の水分を含んで歪んで変形するのを防ぐ意味がある。
次に、仕上がりの形に近づけてカンナで削る「中挽き」(写真2)の作業を行う。一気に削るのではなく、木の乾燥を待って削るを繰り返し、時折、型板をあてて削り具合を確認する。形が整ったら、カンナを刀に持ち替え「仕上げ」(写真3)を行う。刀で繊細に削っていくことで表面があっという間に滑らかになる。
木地師が生み出す木地は、大きさ、厚さに狂いがない。さらに、何度もしっかりと乾燥させた木地は強度がある。木地師は、後に塗る漆の艶や塗り上がりを決めるのがこの木地作りであることを良く知っている。
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1.荒挽き
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4.ブロック~仕上がりまで。