2017 No.22

街歩きにっぽん街歩きにっぽん

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東京のビッグアイランド
大島

地図
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地層切断面。150万年前からの噴火の連続によってできあがった地層が、一周道路の開通によってその姿を現した。600m以上の長さは圧巻だ

大島西部の元町から北部の野田浜まで、海岸沿い約5㎞のサイクリングロードは、初心者にも人気のコース

島の魅力をより味わうならば自転車で一周することをおすすめしたい。島の南側には溶岩性の黒砂の浜や断崖絶壁、地層切断面など、火山活動が作り上げた風景が目の前に広がり、大島が火山の島である、ということを実感できる。近年は自転車ロードレースも開催され、国内外から参加者が集まる。本格的なロードバイクを持ち込み、高低差400メートル以上の一周道路に挑戦する強者も増えてきたというが、レンタサイクルでのんびりと海沿いの自転車道を行くだけでも楽しめる。ひと汗かいた後には、宿や町営の温泉も待っている。

いたるところで目にする樹木が、島民の生活に欠かせなかったヤブツバキだ。防風林になるほか、実からは油がとれ、江戸時代天保年間(1830〜1844)には「椿油」が大島の特産品と記録された。現在も自生するヤブツバキは約300万本といい、冬の開花期には赤い花が島じゅうを彩る。ヤブツバキの油にはオリーブ油以上のオレイン酸が含まれるとして、近年再び脚光を浴び、椿油を使った天ぷらや、椿油ドレッシングを和えたアシタバのサラダも人気。もちろん季節ごとに黒潮がもたらす新鮮な海の幸が食卓の花形であることはいうまでもない。刺身は、ピリリと辛い島唐辛子を漬け込んだ醬油で食べるのが伊豆諸島の伝統だ。

ヤブツバキの実を粉砕し、椿油をつくっていく

ヤブツバキは日本固有種。

ツバキの花つみをする際の伝統衣装に身をつつんだ女性たち

椿油、椿の花のジャム、石けんなど、ツバキの土産は人気が高い

旬の魚を島唐辛子醬油に漬けて握る「べっこうずし」。島唐辛子醬油は店や家庭でそれぞれの秘伝がある。「今日はメダイ。うちは港に上がったばかりの新鮮な魚を使うから、漬け時間は短いよ」と港鮨のご主人

波浮(はぶ)港は、1920年代から1960年代半ばに観光客と漁船の乗組員で賑わった。今はそれらの歴史を味わえる旅情にあふれている

漁船から上がった魚はすぐに出荷の準備。写真はカサゴ

大島エリア地図

交通案内

東京駅からJR山手線・京浜東北線で浜松町駅へ。浜松町駅から徒歩で竹芝客船ターミナルに向かい、東海汽船に乗船。元町港、岡田港まで約1時間45分。
または東京駅から調布飛行場(東京都調布市)まで約1時間。飛行機で大島空港まで25分。

問い合わせ

大島観光協会
http://www.izu-oshima.or.jp/

グローバルネイチャークラブ
http://www.global-ds.com/

高田製油所
http://www.tsubaki-abura.com/