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2017 No.22
ニッポンみやげ
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日本の夏を彩る小さな鐘
風鈴
写真● 伊藤千晴
写真提供● アフロ
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日本人は夏に涼を得るため、昔からさまざまな工夫をしてきた。かすかな風によって揺れて音を出す「風鈴」もそのひとつだ。軒下に吊るされた風鈴は、風を短冊にとらえ、チリリンと優しい音をかなでる。その起源は仏堂や仏塔の軒の四隅に魔除けのために吊るされる青銅製の小型の釣鐘といわれ、いつしか庶民の家でも吊るされるようになった。
日本には各地の名産品の特徴を取り入れたさまざまな種類の風鈴がある。たとえば、岩手県の南部鉄器の釣鐘形の風鈴は、音色の余韻が心地良く響く。鉄器製風鈴の外側に静岡県の駿河竹千筋細工の竹籠を張った風鈴は見た目が涼やかだ。そしてひとつひとつ息でガラスを膨らませて手作りされている東京都の「江戸風鈴」は、手描きの絵付けが愛らしい。ほかにも岡山県の備前焼などの陶器製や、佐賀県の有田焼など磁器製の風鈴がある。
風鈴の音は私たちの心を和ませ、今もなお親しまれている。