2017 No.22

東京400年の物語

3

浮世絵でめぐる江戸・東京

好奇心旺盛な江戸っ子たちは、暇を見つけては物見遊山に出かけた。
花見に祭、風光明媚な景勝地、人気の観光地はいつも大賑わい。
それは現在の東京も変わらない。
江戸の人気スポットを広重の浮世絵でめぐる。

浮世絵提供●亀戸・上野・両国・御茶ノ水=山口県立萩美術館・浦上記念館
浅草=公益財団法人東洋文庫
風景写真提供●亀戸=亀戸天神社、両国=墨田区、浅草=浅草寺、御茶ノ水=大西みつ

亀戸 Kameido

春の梅に秋の菊。亀戸天神は昔から花の名所として人気があった。なかでも初夏の藤は江戸で一番とされ、池の周りが紫の花で彩られると人々は縁台に腰掛け藤見を楽しんだ。「学問の神様」としても有名で受験の時期には多くの学生が訪れる
歌川広重「亀戸天神境内」

上野 Ueno

上野公園一帯は、江戸時代(17〜19世紀)、将軍家菩提寺である寛永寺の敷地だった。その一角、不忍池を見下ろす高台にあったのが「月の松」。美しい円形は植木職人が造形したものだ。風流人たちはこれを満月に見立て、月見としゃれ込んだことだろう
歌川広重「上野山内月のまつ」

両国 Ryogoku

東京の夏の風物詩、隅田川花火大会は、1733年、8代将軍吉宗の治世に始まった。川面に屋形船が浮かび、大勢の見物客が岸辺に押し寄せる風景は今も同じ。吉宗は庶民のために隅田川河畔に桜を植えたが、300年を経た現在、こちらも都内有数の花見スポットとなっている
歌川広重「両国花火」

浅草 Asakusa

浅草寺は1400年近い歴史をもつ東京最古の寺。その雷門から仁王門(宝蔵門)を望む。江戸時代には、庶民の娯楽場としても賑わった。現在も東京を代表する観光地として、大勢の観光客が訪れる
歌川広重「浅草金龍山」

御茶の水 Ochanomizu

手前は中央線御茶ノ水駅近くに現在も残る昌平橋。右手の坂を登れば聖堂(現湯島聖堂)に出る。この付近の神田川は山を切り通して掘削された。深い谷に出現した人工の渓谷は、江戸城の近くにいながら自然を味わえる景勝地として親しまれた
歌川広重「昌平橋聖堂神田川」