2017 No.22

東京400年の物語

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下町コミュニティ再発見!

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写真● 名取和久
写真提供● 上野桜木あたり

昔ながらの木造家屋が今も点々と残る住宅街。その一画の路地を入ると、修復された3軒の日本家屋が建ち並び、井戸を囲んで、地域の人たちがくつろぐ風景が広がっている。ここは、近年オープンした「上野桜木あたり」という名前の複合施設。1938年築の日本家屋が店舗やイベントスペースとしてよみがえり、新しいコミュニティ空間が生まれている。

第二次世界大戦の空襲によって東京の街の多くが焼失するなか、この地域は奇跡的に被災を免れ、いまでも木造建築の商店や家屋、寺院が点在している。「上野桜木あたり」でも、昔ながらの造りを活かし、お店と工房と住まいを、路地と座敷でつなげることで、地域の人や、街歩きで訪れる人が同じ空間で憩うことができる。ここでは、暮らしに密着した食文化、生活文化を支えるために、マルシェなどのイベントや、茶道やヨガなどの教室も開かれ、日々、新たな交流が広がっている。

上部中央/路地を入ると、右手と右奥、そして左奥に3軒の日本家屋があり、それぞれ店舗やイベントスペースとして使われている
下3点/井戸を囲むようにして、地域の子どもや、お年寄りまでがふれ合いを楽しむ。日本家屋の中にはパン屋も併設されている