2013 No.11

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街歩きにっぽん街歩きにっぽん

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布の島 沖縄

布の島 沖縄の場所

写真●伊藤千晴  地図制作●尾黒ケンジ

沖縄本島でつくられているさまざまな織物。左から、首里織、読谷山花織、琉球絣(協力=琉香)

日本の南西部に位置する沖縄諸島。寒暖の差が大きい日本にあって一年中暖かく、日本有数のリゾート地・観光地として知られているが、伝統的に染織が盛んな土地でもある。日本には、麻や絹でつくった、薄くて質のよい織物が数多く存在するが、特に一年を通じて温暖な沖縄では、涼しさを感じられるさまざまな布をつくり出してきた文化が息づいている。

沖縄本島北部の大宜味村喜如嘉地区は、伝統的な「芭蕉布」の里として知られている。肌触りがひんやりとして風通しのよいこの布は、古くから、蒸し暑い沖縄に住む人びとにとって、なくてはならないものだった。原料は、バナナに似た大きな草・イトバショウ。イトバショウの栽培や収穫、茎の繊維から糸をつくる「苧績み」、それを織る作業など、23の工程は、今も完全に手作業で行われる。原料から技まで、すべてが沖縄生まれなのが、芭蕉布の特徴だ。

現代に芭蕉布の技法をよみがえらせた第一人者である、平良敏子さんの苧績みの工程を見せてもらった。苧績みは、布の風合いを左右するため、芭蕉布づくりのなかでも最も技術と経験が必要といわれる。イトバショウの繊維から、無数の細い糸が、目にも留まらぬ速さで割かれていく。まさに長年の経験でしか生み出せない匠の技だ。

左/芭蕉布の原料となるイトバショウの畑
中/見た目にも涼しさが感じられる芭蕉布
右/イトバショウの繊維を収穫する「苧剥ぎ」の作業

左/イトバショウの繊維から糸をつくる「苧績み」
中/芭蕉布を復活させ、伝承の中心として活躍する平良敏子さん
右上/乾燥した繊維が巻かれた「チング」。これから糸がつくられる
右下/芭蕉布の織りの工程