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2018 NO.24
街歩きにっぽん
西部の山間にはニホンカモシカやソボサンショウウオなどの稀少生物が生息する
写真提供=豊後大野市自然史友の会
佐伯市の西部には九州地方最高峰の高さを誇る山々が連なっている。そこにはニホンカモシカやソボサンショウウオなどの絶滅危惧種の動物が生息し、その貴重な自然環境と人間が共存するモデル地域として、2017年6月にユネスコエコパークに指定された。
こうした大自然を体感する場としてキャンプ場などのアウトドア施設もあり、なかでも佐伯の北西部を流れる桑原川の藤河内渓谷はウォータースポーツを満喫できるとして人気が高い。巨大な花崗岩の一枚岩と、長年の歳月でできた緩やかな曲線の沢は、夏になるとその岩から川へ飛び込んで沢を下る迫力満点のキャニオニングを楽しめる。豊かな清流は刺激的な体験だけでなく、優雅なひとときをももたらす。5月中旬から6月中旬にかけて、市内を流れる番匠川では数十万匹というゲンジボタルの幻想的な舞を堪能する祭りも開催される。
また、佐伯では温暖な気候を活かしてかぼすなどの柑橘類や昼夜の寒暖差で甘酸っぱさが増すぶどうなどが栽培され、それらを使った酢などの調味料も土産物として好評だ。農村と漁村の双方のよさを味わえる佐伯ならではの観光として、近年はグリーンツーリズムが積極的に取り組まれている。山間部の農家や漁業に関わる施設などに宿泊し、収穫や食事などをともにすることで、佐伯の人びとが長年大切にしてきた文化や料理を時間をかけてじっくりと味わう旅も楽しい。
海と山、そして里山の自然。一つの地域でここまで多くの魅力が詰まっている佐伯では訪れる人それぞれの楽しみ方がある。それはかけがえのない旅の思い出となるだろう。
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佐伯エリア地図
交通案内
東京・羽田空港、愛知・中部国際空港、大阪・伊丹空港から空路で大分空港まで約1〜1時間半程度。空港からバ スで大分駅、大分駅から特急に乗車し、佐伯駅まで約70分。
問い合わせ
佐伯市観光協会
http://saiki-kankou.com/
さいきグリーンツーリズム研究会
http://www.yappa-saiki.sakura.ne.jp/saiki-gtr2/index.html