2018 NO.24

祭りと生きる

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祭りを支える人びと

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京都から全国へ広まる「ごみゼロ大作戦」!

協力●一般社団法人祇園祭ごみゼロ大作戦

〝Reuse〟のマークを付けてごみを減らす

1100年もの歴史を誇る京都市の祇園祭。街中に屋台が出回る期間には、全国からおよそ60万人もの観光客が訪れるが、一方で50t近く出る大量のごみの一部が、街中に捨てられていることが問題になっていた。

この問題を解決し、ごみに対する意識を高めようと2014年に立ち上げたのが「祇園祭ごみゼロ大作戦」だ。このプロジェクトでは、使い捨て食器のごみを削減するため、祭の期間中に出店する屋台に再利用可能な食器を貸し出したり、エコステーションで資源物とごみの分別回収を行ったり、食器の回収を行った。2000人以上のボランティアが参加し、2014年は来場者数が前年比で24%増えたにもかかわらず、ごみの全体量が25%減るという好結果を生み出した。そして2017年には、企業の協力により、再利用の食器にシールを貼り付け、回収率を上げる試みにも取り組み、実績を上げている。

このプロジェクトの中心となっている、環境NPO「地域環境デザイン研究所ecotone」代表理事の太田航平氏は言う。「食器を返すときに『ごちそうさま』や『おおきに(ありがとう)』と声をかける来場者が増えた。これは使い捨て食器ではなかったこと」。また、毎年参加しているボランティアの若者も多く、毎年続けることで「意味や意義も広まってきた」と口ぐちに語るなど、祭りを通じて環境問題への意識の高まりを感じているようだ。

この作戦は、他都市からも注目を集めている。隣の大阪府で行われる天神祭の主催者らは、祇園祭の手法を採り入れ「天神祭ごみゼロ大作戦」を一部地域で実施し始めた。その他、様々な地域からも視察や調査に訪れており、「ごみゼロ大作戦」は、京都から全国へ広がる勢いを見せている。

揃いのTシャツを着た大学生ら約2200人がボランティアで参加

可燃物、かん、ペットボトルなどごみを分別する場所を約50カ所設置

天神祭の活動では約60tだった可燃ごみが1年目には約30tまで削減した(写真右)