2018 NO.23

よそおう日本

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日本の美意識を知るキーワード

日本人のよそおいの根底にある独自の美意識。
日本では何を美しいと思い、何を大事にしてきたのか。
脈々と受け継がれてきた、美意識の心と言葉。

優美 yuubi

柔らかで、たおやかな美しさ。控えめでありながら、姿や動作がしなやかで、物事が移り変わる様を楽しむ余裕をもつ。

上村松園「京美人之図」1932~1935年頃(所蔵=株式会社ヤマタネ)。団扇を手にした着物姿に季節の移ろいを感じる

壮麗 sourei

気高さ、麗しさ。華やかで煌びやかな中に上品な優雅さがある。

色とりどりの刺繡が美しい着物をまとう日本女性(写真=下園啓祐、モデル=きなり、写真提供=DE&Co./THE KIMONO SHOP)

雅 miyabi

上品で知的に洗練されたもの。繊細さと鋭敏さを兼ね備えた感受性をもち、物事の趣を面白がる。

高畠華宵(たかばたけかしょう)「移り行く姿」1935年(図版協力=弥生美術館)。19世紀後半から20世紀初頭までの女性たちの春夏秋冬の姿を描いた屛風。上は秋冬の様子

繊細 sensai

細やかで緻密なもの、儚いもの。一見しても分からない部分にまで丁寧にこだわり、小さなものをひとつひとつ組み立てていく精巧さ。

四季折々の花々を模した花かんざし(所蔵=上・金竹堂、中・下櫛かんざし美術館)。移ろいゆく自然の情趣が精巧に形づくられている(写真=野村正治)