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2018 NO.23
よそおう日本
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「美しい」を力に変える人びと
化粧をすることは、容姿を美しくするだけではない。
介護やスポーツの現場で活かされる
化粧のさらなる効果に迫る。
写真●小原孝博 写真提供●アフロ 協力●株式会社コーセー、株式会社資生堂
全力の演技を応援!!
シンクロナイズドスイミングの日本代表チーム「マーメイドジャパン」を陰から支えるのが、コーセーのメイクアップアーティスト・石井勲さんだ。
「スポーツをするときも美しく」というコンセプトで、汗をかいても化粧崩れしにくい撥水技術を開発してきたコーセーは、オリジナルの樹脂成分を配合した、密着性やキープ力に優れた化粧品に定評がある。そのコーセーがマーメイドジャパンのオフィシャルコスメティックパートナーとなったのは、2006年4月。以来、10年以上にわたり、メイクアップの開発や指導に携わってきた。
長年トップアーティストとしてメイクをしてきた石井さんは、演目が新しくなると、代表チームの監督などと相談しながら、新たな水着や曲・テーマに合わせたメイクを作り上げる。ポイントは、遠く離れた応援席や審査員席から美しく見えるメイクにすること。「水着で最も鮮やかな色を必ずメイクに取り入れるようにしています。そうすることで、遠くから見ても全体の調和がとれ、演技の見栄えも際立つように思います」と石井さんは言う。
また、ハイライトを活用して立体的なメイクを心がける。チーム全員に一列に並んでもらい、正面・横・斜めなどさまざまな角度から全員の統一感をチェックし、各選手への細やかなメイク指導も忘れない。
驚いたことに、水中であれだけ激しく泳いでも崩れないのに、特殊な化粧品ではなく、市販品を使っているのだそうだ。もちろん、水中競技でも崩れないメイクには、石井さんならではの秘密がある。
「たとえば、アイメイクではウォータープルーフのリキッドアイカラーの上にパウダータイプのアイカラーを重ねて発色を高め、さらにリキッドアイカラーを重ねることで密着し、崩れにくくしています」
市販されていない色は、別々の色を重ね塗りすることで作り出すこともあるという。美しいメイクによる統一感や一流アーティストからの直接の指導が、選手たちの自信や集中力にもつながっている。マーメイドジャパンの力強さや優美さは、日本の化粧技術が支えているのだ。