2015 No.15

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水の国、ニッポン

3

水から都会を守る

神田川・環状7号線地下調節池

トンネルの内部。満水時は54万tの水をためられる

東京23区をぐるりと巡る環状7号線の真下に、巨大なトンネルがひっそりと存在している。地下鉄よりもさらに深い地下約40m、南北4.5㎞にわたって延びる「神田川・環状7号線地下調節池」だ。

神田川の前身は、江戸の水道に水を供給していた神田上水。東京の人にとってはなじみ深い川だが、氾濫を繰り返し、流域の人びとを悩ませてきた。その改善策として打ち出されたのが、この調節池である。増水した河川から水を取り込んで一時貯留し、洪水を回避する機能を持つ。1997年に一部区間で取水を開始してから、これまでに36回稼働し、下流域の浸水被害は激減した。

国内数カ所にある同様の施設のさきがけ的存在でもある。近年、大雨の発生件数は増加傾向にあり、水害から町を守る守護神として、その役割はさらに大きくなりそうだ。

トンネルができるまで、神田川流域ではひんぱんに氾濫が起こっていた。写真は1982年9月の被害の様子(写真=毎日新聞/アフロ)

善福寺取水施設の中央監視操作盤。3本の川の様子をモニターで監視しながら、取水システムを1カ所で制御する