niponica is a web magazine that introduces modernJapan to people all over the world.
2019 NO.28
街歩きにっぽん
アメ横から上野駅に沿って北へと足を延ばせば、緑豊かな上野公園に辿り着く。江戸期(17~19世紀)に建立された寛永寺の広大な敷地を一部転用して1876年につくられた公園には、さまざまな文化・学術研究施設が建ち、現在に至るまで日本における芸術文化の発信拠点となっている。
歩道も広く整備の行き届いた休日の公園で、元気に子どもたちが駆け回る風景は、1882年にこの公園内にある恩賜上野動物園が開園して以来変わらない。フランスの建築家ル・コルビュジエが設計し、世界文化遺産に登録された国立西洋美術館や、恐竜の骨格標本が大人気の国立科学博物館など、公園一帯には7ヵ所の美術館と博物館が点在し、見どころは尽きない。
地元で「お山」と呼ばれ親しまれてきた上野公園は、春には桜が、夏には園内の不忍池に蓮の花が咲き誇る。そんな季節の風物詩とともに、日本文化をさらに楽しみたければ、落語を聴きに「鈴本演芸場」に立ち寄るのがいいだろう。落語は、日本独自の古典芸能。噺家が話芸と身ぶりだけで一人何役も演じ、こっけいな物語を描きだし、人の心を和ませる。甘いもの好きなら、「あんみつ」が看板メニューの「みはし本店」や、和菓子のひとつ「どらやき」で日本全国にその名を知られる「うさぎや」は外せない。
午後6時になれば、寛永寺から時を知らせる鐘の音が聞こえてくる。昔から変わることのない上野の響きだ。学んで、遊んで。街の賑わいのそばに歴史と文化が息づく上野で過ごす一日は、きっと彩り豊かな思い出を残してくれるだろう。
落語が楽しめる「鈴本演芸場」。橘家圓太郎(右)をはじめ、毎日多くの噺家が出演する
「みはし本店」は、1948年創業の甘味処。看板メニューのあんみつ(寒天にあんや黒蜜などを加えたもの)は、当時から変わることのない人気の一品
1913年創業の人気和菓子店「うさぎや」。名物のどらやきは、焼き立てをいただくのがおすすめ

上野エリア地図
①恩賜上野動物園②国立科学博物館③国立西洋美術館④アメ横⑤鈴本演芸場⑥みはし本店⑦うさぎや
●交通案内
成田空港から上野へは京成線の特急で約60分。
●問い合わせ
東京の観光公式サイト「GO TOKYO」
https://www.gotokyo.org/
恩賜上野動物園
https://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/