年中行事と着物
お宮参りと七五三
日本人は季節感をとても大切にします。そして日本には、子どもの成長過程にさまざまな行事があり、季節や行事に合わせて、ふさわしい着物を着ます。
子どもが生まれてからおよそ30~100日の間に、両親、祖父母がそろって近くの神社に出かけ、赤ちゃんの誕生を神社に報告するお宮詣(まい)りをします。赤ちゃんに着せる着物は白で、女の子は華やかな友禅の着物、男の子は黒い紋付を上に重ねて着ます。
七五三のお祝いには、子どもたちは着物に身を包んで神社にお詣りし、両親は子どもたちが健やかに成長しているという感謝の気持ちを神様に伝えます。
成人式と結婚(こん)式
20歳になると、大人の仲間入りを祝う成人式があります。このとき女性は振り袖(ふりそで)、男性は紋付の羽織袴(はおりばかま)を身につけて神社にお詣りします。
このときに女性が着る振り袖は、長い袖が大きな特ちょうです。かつての日本人女性は、その長く垂れ下がった袖を振るという、“袖振る”しぐさをすることにより、男性への愛の告白を表現しました。振り袖は未婚女性だけが着る着物です。
結婚式では、新婦は白無垢(しろむく)と呼ばれる真っ白な着物を着ます。白色は「新しい出発」を意味する色でもあるのです。
(世界文化社)
留袖(とめそで)
結婚後は留袖を着ます。振り袖の長い袖を切り留めたことから留袖と言い黒留袖と色留袖があります。黒留袖は礼装として親類の結婚式などあらたまった場に出席する場合に着用され、家紋が1〜5か所に入ります。色留袖も黒留袖と同様に、フォーマルの場で着用される着物です。両方とも模様は裾(すそ)だけにあしらわれているのが大きな特ちょうです。
(世界文化社)
訪問着、付け下げ、小紋(こもん)
そのほかにも女性の着物には多くの種類があります。生地が1枚のキャンバスのように着物全体に模様があしらわれた訪問着、裾と肩(かた)、袖の外側の部分にだけ柄がある付け下げなどの着物があり、ドレスコードに合わせて、パーティーに出席したり、お茶やお花の席、友人の結婚式に招待されたりするときに着ます。
さまざまな色・柄や細かい模様が着物全体にちりばめられた小紋や、絹糸を表面にして織られた紬や木綿などの織りの着物は、おしゃれ着として気軽に着られるものです。
(世界文化社)
(世界文化社)
季節感を表現
さらに、着物では色や花などの模様で季節感を表現することも大切です。春は若草色などの淡(あわ)い色調を中心に、夏は藤色や藍色(あいいろ)などのすずしげな色調で、秋は山吹(やまぶき)色など色づいた葉の色をイメージした淡い色を使い、冬は黒や赤など強い色を使います。お正月に神社に初詣をするときや、年上の方の所にうかがうときにも、これらの着物に季節の色を取り入れます。
浴衣(ゆかた)
また、夏の花火やお祭に着ていく浴衣も、夏の着物として定着しています。昔からお風呂(ろ)上がりに家の中で着る着物として親しまれてきましたが、最近では夏の風物詩として、老若男女を問わず多くの人に着られるようになりました。素材は綿が中心で、柄は白地に紺(こん)色、または紺地に白色が代表的ですが、最近はカラフルな色使いのものも増えています。
季節や場面によってさまざまな形で着こなされる着物ですが、色使いや素材に工夫して着こなすことで、日本人は季節を愛する心を表現しています。
<関連リンク>
着物(動画)
日本語:着物の魅力
英語:Kimono Creativity
フランス語:Créativité dans le kimono
スペイン語:Quimono creativo
中国語:和服的魅力
ポルトガル語:O Charme do Quimono
アラビア語:مفاتن الكيمونو وإبداعاته
家紋
英語:KAMON (FAMILY CRESTS)- SYMBOLS OF THE FAMILY BRIMMING WITH DESIGN
フランス語:LES KAMON, SYMBOLES FAMILIAUX À LA CONCEPTION FOISONNANTE
スペイン語:EL KAMON (EMBLEMA) SÍMBOLO FAMILIAR LLENO DE DISEÑO
中国語:富有艺术性的家庭象征—家徽
アラビア語:كامون أو رمز العائلة، رمز يزخر بجمال التصميم
浴衣
英語:YUKATA
振袖