生け花ってどんなもの?
生け花の歴史
生け花は日本で約700年も前から独自に発展してきた、枝や葉や花などを器に美しく飾る芸術です。枝や花を自分の思うとおりに挿(さ)すためには、多くの留め方を知らなければなりません。その技術を習得するために、人々は生け花教室に習いに行きます。一通りの技術と表現を身につけるには、3~5年かかると言われています。
瓶花(へいか)と盛花(もりばな)
生け花は700年の歴史の中で、さまざまな様式を生み出してきました。代表的な様式としては、つぼ型の器に生ける瓶花(へいか、りっか、しょうか、せいかなどの様式があります)、皿型の水盤(すいばん)と呼ばれる器に生ける盛花(もりばな)などがあります。
あざみの赤い花とそけい、ぎぼうしの黄色の組み合わせが目にあざやかな作品は、しなやかな枝の動きを見せて、初夏の枝・花・葉を合わせた盛花です。
時代と共に変化する生け花の姿
生け花は、床(とこ)の間という伝統的な日本の家独特の場所に飾ることが多かったのですが、現在では玄関(げんかん)や居間などに自由に飾られるほか、公共の建物のホールやショーウィンドーなど町のいろいろな場所に飾られています。
生け花は、花と花器との調和や飾る場所の雰囲気(ふんいき)に合わせて花を選び、生け方を考えますが、西洋のフラワーアレンジメントと大きくちがうのは、次々に花を挿していくのではなく、できるだけ枝や葉を省略し、いかに少ない花で美しく見せられるかを工夫する点です。
東洋的な美意識
最近では、小原流の「花意匠(はないしょう)」などのように伝統的な日本の生け花の基本をふまえながら、西洋のフラワーアレンジメントの要素を取り入れた技法も用いられるようになりましたが、この場合でもフラワーアレンジメントのように花をたくさん使うのではなく、日本の生け花の重要な要素である空間のバランスを生かした生け方をします。生け花の根本には、東洋的な美意識が存在しているのです。
カラーの茎(くき)がえがくしなやかな曲線の美しさを表現しています。