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日本の家の暮らし

衝立(ついたて)から障子(しょうじ)へ

日本の家では横にスライドさせて開け閉めする戸が多く使われています。大昔は場合に応じて衝立を置いて、大きな部屋を仕切っていました。そのうちその仕切りをかべにはめるようになり、それでは不便なので横にすべらせる溝(みぞ)がつけられて現在の形になりました。障子は部屋の仕切りの総称(そうしょう)でしたが、木製のわくの間にやわらかく光を通す紙をはった明かり障子が主流になりました。

戸とカーテン、両方の役割を果たす障子

畳と座布団

今は部屋の全面に畳がしかれていますが、中世までは畳が貴重品だったため、人が座るところに畳を置くのがふつうでした。この畳の上に、周りを飾り布でおおったうすい畳をしいていましたが、それがやがてわらでできた円座へと変わり、座布団へと発展していきました。座布団は最初、美しい布のしき物でしたが、江戸時代(1603年〜1867年)の半ばごろから綿が入れられクッションのようになりました。

座卓(たく)と茶箪笥(ちゃだんす)

昔は食事のときには一人ひとりお膳(ぜん)という箱のようなものの上に料理を出して食べていましたが、明治時代(1868年〜1912年)以降、中国や西洋の食事が取り入れられると、複数で囲む食卓が登場しました。ただ、和室ではいすを使わないため、外国のものよりかなり足の短い座卓が作り出されました。

家族で集い、食事をする居間が生活の中で重要になるにつれて、食器やお茶などをしまう家具が置かれるようになり、もともとは茶道の道具入れだった茶箪笥という名前がつけられました。

1920年~1930年代の室内、写真中央に茶箪笥(東京都江戸東京博物館)

こたつと床(とこ)の間

畳の上に座る日本では、冬には居間にこたつを置きます。こたつは中世の禅(ぜん)寺で始まったと言われ、昔は炭、今は電気の熱源を入れ、机を置いて布団でおおい、上に板を置いてテーブルとして使います。

中世の終わりごろの武家住宅から始まったものに床の間があります。床の間は客間にあって、かけ軸(じく)という、つるして鑑賞(かんしょう)する書や絵の巻物や、伝統的な生け方の花を飾る場所です。

食卓にもなるこたつ

家の中にまつる仏様と神様

日本では、アジアのほかの国でも信仰(しんこう)されている仏教と、日本古来の神様の両方を家の中でまつっている家もあります。仏様はとびらがついた箪笥のような形をした仏だんに、また神様は小さな神社のような形をした神だなに納めます。中にはお札(ふだ)が入っていて、部屋の天じょう近くに飾ります。

客をもてなす床の間の飾り