日本の家の仕組み
はじめに
日本の伝統的な家は、土をふみ固めたり石をしきつめたりした平らな基礎(きそ)の上に木の柱を建てて作ります。世界中に木の家はありますが、四季がはっきりとしていて夏はむし暑く、冬は寒い日本の家にはどのような特ちょうがあるのでしょうか。
家の外と内を区別する門と塀(へい)
敷地の境目に門と塀を構えて塀で周りを囲んでいる家もあります。門には屋根つきの木造建築のようなものから、金属製の柵のようなものまでさまざまなものがあります。塀も土をつき固めて作った土塀、大谷石などを積んで作る石塀、木材を用いる板塀、樹木を植えて塀がわりにする生垣などがあります。
湿(しっ)気をさける床
床(ゆか)は地面の湿気をさけるため、地面から数十センチメートル(約18インチ)上に根太(ねだ)という横方向の木材をわたした上に張ります。台所やろう下などは板張りのままですが、人が座って使う部屋には、イグサという植物でできた分厚いマットレスのような畳(たたみ)を全面にしきつめます。このような畳をしいた部屋のことを和室と言います。畳の上には本来いすは置かず、直接座るか座布団という平らなクッションをしいて座ります。日本の家に入るときにくつをぬぐのは、このためです。
大きな屋根を支える骨組み
家の骨組みは木でできており、全体の重さを支えているのは縦方向の柱、横方向の梁(はり)、そしてななめ方向の筋(すじ)かいです。ただし、筋かいは日本が外国の技術を取り入れるようになってから用いられるようになったものです。日本の建築は夏の日差しをさける深い軒(のき)と大きな屋根の存在感が特ちょうと言われており、その重さを支えているのがこの骨組みです。
燃えにくいかべ
昔のかべは竹で編んだあみのようなものの両側に土をぬって作りましたが、現在ではいろいろな素材が開発され、合板などもよく使われています。また古くは柱がかべの外側に見える真かべ作りが主流でしたが、明治時代(1868年〜1912年)以降、防火の観点からも柱をかべの中に納める大かべ作りが取り入れられるようになり、大正8年(1919年)には市街地の木造建築のかべは大かべ作りにすることを法律で決めました。
瓦ぶきの屋根
昔の屋根は板やわらでおおったものが多かったのですが、現在ではほぼ瓦ぶきです。屋根は雨や風、雪、日照といった自然条件に最も影響されやすく、地方によってさまざまな特ちょうがありますが、雨をうまく流すために平らではなくかたむきを持つところは共通です。
日本の家は、伝統的な形に新しい技術を取り入れ、燃えにくく便利な形に発展してきました。その結果、ここで紹介したような伝統的な家ばかりではなくなっている側面もあります。しかし最近になって環境に優しく、長持ちする伝統的な建て方にも改めて関心が持たれています。