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弁当箱

1人前1回分の食事が入る容器

弁当箱は1人前1回分の食事として、ご飯と数種類のおかずが入るコンパクトな容器です。食事の容器として、古くはカシワ、ホオ、ササの葉、タケの皮などを利用しました。その後、木製の容器が作られました。また、地方によってタケやヤナギで編んだ容器や、薄(うす)い木の板を曲げて作ったふたつきの容器などが作られ、今も工芸品として生産されています。

江戸時代(1603年〜1867年)、裕(ゆう)福な商人たちは、二重から五重まで積み重ねて料理を入れることができる重箱形の華(はなや)かな容器に好みの料理を詰め、彩りもあざやかな弁当を作って、お花見や観劇を楽しみました。以来、家の中での祝い事や法事、お客さまをもてなすときなどに出す弁当は独自に洗練されていき、特に茶の湯の世界でよく用いられました。

曲げ物の弁当箱

曲げ物とは、スギやヒノキなどを薄くけずり、曲げて筒(つつ)型にし、底を別の板でふさいだ木の容器です。日本では、弥生(やよい)時代(紀元前10世紀ごろから3世紀ごろ)からあり、古代、中世を通じて日常生活の器や神さまにお供えするときの器として使われてきました。

写真は、今、弁当用に作られている曲げ物です。中に仕切り板を入れて、ご飯とおかずを分けて入れられるようになっています。

曲げ物の弁当箱

行李(こうり)の弁当箱

行李とは、衣類などを入れるための、ヤナギやタケを編んだ大きな長方形の箱のことで、小型のものはふだんの弁当箱として使われました。今では大型の行李はほとんど使われませんが、弁当行李は自然の素材で作られたおもむきのある器として愛されています。

タケを細くさいて編んだ行李の弁当箱

さまざまな素材やデザインの弁当箱

現在、家庭で作る弁当を入れる弁当箱の素材は、木、アルマイトなどの金属、プラスチックなどです。形は、長方形、丸形、2段式のものがふつうです。また、汁物も入れられる密閉式のもの、暖かいままで保温できるもの、そのまま電子レンジに入れられるもの、小さな水筒(すいとう)がいっしょに入る小型のトランク式のものなど、さまざまな弁当箱があります。

アルマイトの弁当箱。さまざまな素材の弁当箱がありますが、もっとも広まったのがこのアルマイト製

プラスチック製の弁当箱が出回る前は、ほとんどの人がこのような金属のアルマイト製の弁当箱を使っており、弁当というとこのイメージがあります。

また、弁当箱にはブランド志向のものやハローキティなどのキャラクター商品も多く、はしやフォーク、弁当を入れる専用の手提げぶくろまでそろえるのも楽しいものです。

キャラクター弁当箱
「ハローキティ」は、子どもから大人まではば広く人気があります。写真は、「ハローキティ」のついた弁当箱、はし箱、はし、フォーク、スプーン
弁当まわりのキャラクターグッズ
弁当を入れるふくろ、おしぼりタオルと水筒にも、キャラクター(シナモロール)がついています
©2021 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. L615552

千利休が好んだ半月弁当

今も使われる弁当の器には、16世紀後半に茶道を確立した千利休(せんのりきゅう)の好みとされる半円形の「半月弁当」、野外でお茶を楽しむ野点(のだて)に用いられる茶道具一式を入れる茶箱を弁当箱に見立てた「茶箱弁当」、江戸時代(1603年~1867年)初期の学僧(そう)松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)が好んだ絵の具箱を弁当箱に見立てた「松花堂弁当」などがあります。盛り入れる料理は、季節や目的によってさまざまで、見た目も美しく上品です。

半月弁当(株式会社たん熊北店)

日本料理店の弁当は、宴(えん)会などで出る高級感のある会席の料理を1人前ずつ1つの器に入れて出す食事のことです。この弁当は、外へ持ち出す機能よりも、1人前の料理をコンパクトに盛る工夫としてとらえられている、と言えるでしょう。

松花堂弁当