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盆栽の手入れ

はじめに

盆栽は1メートル(約3.3フィート)にも満たない樹木でありながら、自然の老大樹を思わせるような存在感があります。そのような盆栽は、数世代にわたって大切に受け継がれてきたものです。

盆栽を、鉢という限られたスペースの中で何十年も育てていくためには、さまざまな手入れを必要とします。ここでは、盆栽を育てる手入れの方法を紹介します。

剪定(せんてい)

剪定とは、はさみや専用の道具で枝を切る作業のことです。盆栽として初めて手入れをする若木の場合、最初の剪定は、その樹木の盆栽としての骨格を決める大切な作業です。完成を目指して育てている最中の樹木の場合は、枝の向きや間かく、各枝の長短のバランスなど構想に沿った剪定を行います。ほぼ整った樹木の場合は、剪定によって、その姿を保つように努めます。

剪定前
剪定後

盆栽は植物ですから、自然に成長します。剪定はその成長をおさえるのではなく、植物が成長しようとする力をうまく利用して、盆栽の姿を整えていくのです。そのため、樹種によって作業の時期や方法も異なります。また適切に枝を剪定することによって、すべての枝の日当たりや風通しをよくして盆栽の健康な成長を助けます。

針金かけ

針金かけとは、幹や枝に針金をかけ、その力を利用して樹木を曲げたり、樹木が持っている不自然な曲がり方を直したりする作業です。針金には銅線とアルミ線がありますが、初心者にはアルミ線の方が使いやすいでしょう。線の太さは10種類以上あり、枝の太さやかたさによって使い分けます。針金は幹からかけ始め、下の枝から次第に上の枝にかけていくのが基本です。もちろん、必要な部分だけにかける場合もあります。針金をかけた枝が太くなると、針金が枝に食いこみ、傷になってしまいます。よく観察して、そうなる前に針金を外さなければなりません。期待通りの効果が得られなかった場合は、もう一度針金をかけなおします。

針金かけ(下段の枝)
針金かけ(中央の枝)
針金かけ(上段の枝)

針金かけは盆栽の姿を美しく整えるために行いますが、自分の思い通りの形にしようとするのではなく、それぞれの樹木の性質と個性をつかんで、樹木のよい面を引き出してあげることが大切です。また針金でしばりつけられたようでかわいそうだと言う人もいますが、大人が子どもの成長を手助けするような気持ちなのです。盆栽を愛する人にとって、盆栽は、友人であり子どものようなものです。針金かけをしっかりやることで、盆栽を健康に育てることができるのです。

植え替(か)え

植え替えとは、鉢の中でのびすぎた根を切って短くし、新しい土で植え直す作業です。まず盆栽を鉢から出して、古い土をきれいに取り除きます。その後、根を3分の1ほど切りつめてから新しい土で鉢の中にすき間ができないように植えつけます。鉢は同じものを使う場合もありますし、樹木の成長に応じて大きなものに替えることもあります。大きさだけではなく、色や形もよく考えて最適な鉢を選ぶことが大切です。

植え替え前
植え替え後

盆栽は、鉢という限られたスペースの中に根を張って生きています。その鉢の中がのびた根でいっぱいになってしまうと、樹木はそれ以上根をのばすことができなくなるばかりか、空気や水の通りも悪くなって健康に成長することが難しくなります。そうした問題点を解決するために定期的に植え替えを行い、樹木の生育を助けるのです。