みなさんは学校でどんな風にお昼ご飯を食べていますか?一般的に日本の多くの小学校では、児童たちが学校から提供された同じ献立を教室で食べる給食があり、給食当番の児童たちが協力しながらお皿に料理をもりつけたり片づけたりしています。そして、授業で使う教室などは掃除当番の児童たちが自ら掃除をしています。今回は、日本の学校特集として「当番活動」の様子を紹介します。
「当番活動」とは?
日本の学校では、学校生活をとどこおりなく運営するために、学級の児童たち全員が交替で役割分担をして仕事に取り組む「当番活動」があります。その種類は学校によってさまざまですが、主な当番として、教室などの掃除をおこなう「掃除当番」、給食の料理をお皿にもりつける配膳などをおこなう「給食当番」、学級の全員が毎日交替しながら仕事をおこなう「日直」などがあげられます。
日本の小学校の主な「当番活動」を紹介
「日直」の児童が朝の会の司会をしている様子。
日本の首都・東京にある杉並区立大宮小学校の主な当番活動の様子を見てみましょう。この学校では授業がはじまる前に、学級ごとに朝の会があります。「日直」が司会をして、朝のあいさつや健康調べ、クラスの児童からみんなへ連絡することがないかなどを確認しています。日直の児童は、授業後の帰りの会でも司会をおこない、翌日の当番にひきつぎます。この日に日直をしていた児童は「その日の代表という思いです」「人前で話すことに慣れて、司会が好きになりました」といっていました。
「給食当番」になったグループが給食エプロンをつけて配膳している様子。
ご飯、おかず、サラダなどを順番にもりつけトレーにのせて配ります。
栄養バランスもばっちり。もりつけ後の給食。
お待ちかねの給食では「給食当番」が大活躍。学校内でつくられた給食の、ご飯をおわんによそう人、 お皿におかずをのせる人というように役割を分けて配膳していきます。給食当番について「みんなのためにご飯をよそうのが楽しい」「ありがとうといわれるとうれしい」「友達と協力してできる給食当番が好き」という声もあり、人気の当番活動のようです。また「食べる時間を確保するためにスピーディに配膳!」「みんなに平等にもる」など当番活動での気づきから、自分なりに工夫している児童もいました。
給食当番によりきれいに片付けられたワゴン。この学校では当番が牛乳パックのリサイクルも担当します。
配膳だけでなく食べ終わったお皿などの片付けまでが給食当番の役割です。「気持ちよく洗ってもらえるようにきれいに片付けています」という児童のクラスのワゴンは、スプーンの向きもきちんと揃えられています。また、飲み終わった牛乳の紙パックは後でリサイクルできるように、よく乾かしてから、コンパクトにまとめられていました。
集中してもくもくと掃除する「掃除当番」の児童たちの様子。
「掃除当番」は、ほうきやぞうきんを使って、教室をはじめ廊下や階段、くつ箱といった共有スペースも手分けをして掃除しています。教室の机を移動して間隔をあけながらチームで掃きすすめたり、協力してちりとりでゴミを集めたり、机や黒板、鏡などもていねいに拭いていきます。掃除当番について「掃除をしてピカピカになると気持ちがいい」「みんなのためにきれいにすることが楽しい」といった意見のほか「ゴミがたまりやすい所から見えない所まで掃除しています」と自分なりのこだわりを教えてくれた児童もいました。
きれいに整頓されている掃除の道具入れと、イラスト付きで工夫された掃除当番表。
先生たちは、児童にほうきの正しい使い方や効率のよいはき方を教えたり、掃除道具入れにわかりやすくラベルなどを貼ったり、「掃除当番表」をつくって壁に貼ったりして、児童たちが自分からすすんで掃除をやりたくなるように指導や工夫をしていました。
このような当番活動によって「みんなが率先して手伝うようになった」「自分もクラスの一員で、みんなのために仕事をしているという意識が高まった」という児童の声もあり、当番活動が、児童たちに与える影響がみられます。
当番活動がもたらすもの
登校して職員室に保健カードや出席簿をとりにくる当番の児童。
図書室の本を整理する当番の児童。
児童たちの「当番活動」を見守ったり声かけていた先生方にもお話をきいてみました。「当番活動には責任感や自主性を育む目的もあり、できるだけ児童たちで運営されていくことを目指しています。
児童の前向きな姿をほかの児童が見て、当番の中で臨機応変に対応したり、しぜんに学級で助けあったりしていますよ。」と語る先生からは、児童が自分で考えながら、協力して当番活動をおこない、仲を深めてほしいという思いがあらわれています。「当番活動のモットーは1人1役。だから1人ひとりの役割をはっきりさせています。」という先生は、役割や目的を教えることで達成感がうまれて自己肯定感につながってほしいという思いで指導をしていました。
また「当番活動」は児童全員が同じ仕事を分担しておこないますが、児童が自らしたい仕事をすすんでおこなう「係活動」という学級活動もあります。この学校では運動が好きな児童が体育の授業で使うボールなどを用意したり片付けたりする「体育係」や誕生日の人をお祝いする「誕生日係」、教室で飼育している生き物を世話する「生きもの係」、具合の悪い人を保健室へ連れて行く「保健係」などがあり、児童1人ひとりが楽しみながら取り組んでいました。
日本の学校で行われている「当番活動」「係活動」は、児童の社会性や自主性などを育み、児童の成長に重要な役割を果たしています。